KENWOOD KT-1010F (10号機) が到着
2025年12月7日、山梨県南都留郡の T さんより
KENWOOD KT-1010F
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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FM 誌の亡き
長岡鉄男
氏 (越谷在住) が絶賛した KENWOOD KT-1010F を
ハイファイ堂
から入手しました。
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電源は入りますが、FM 受信で S メータが全く振れず、感度はかなり落ちています。
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AUTO TUNING では無理でしたが、MANUAL では雑音混じりながら地元局 FM FUJI は何とか受信できました。
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S メータが全く振れないのですが、表示系の故障でないことを祈るばかりです。
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外観
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製造シリアル番号は [59K11037] で、電源コードの製造マーキングより [1985年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] [取扱説明書] が添付されていました。
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少し汚れがありますが、フロントパネルは綺麗です。
リアパネルは綺麗で端子類にも輝きが残っています。
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天板に汚れがありますが致命的なキズなどはありません。
底板は特に問題ないです。
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電源 ON して動作チェック
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電源は入りディスプレイの輝度は新品同様に明るいです。
操作ボタンは正常そうに反応します。
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RCA 端子に挿入したプラグを揺すると音が途切れます。
ハンダクラックか RCA 端子自体が故障しています。
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FM 受信
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修理依頼者によると「S メータが振れない」とのことですが・・・
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右の写真は、我が家で 80.0MHz の放送を受信した時の S/T メータの表示です。
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T メータが常に右側に貼り付いたままです ・・・ これは故障です。
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S メータは赤色ですがフルに振れており、問題なさそうです。
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正常そうな音は出ますが [STEREO] 表示が出ません。
これは上記の故障が原因と思います。
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AM 受信
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1200kHz 以上の高い周波数でやや感度落ち感はありますが、特に問題なく受信できました。
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カバーを開けてチェック
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内部は非常に綺麗で、目視で明らかに劣化とわかる部品は無いです。
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黒色のフラットケーブルの全部の表面がネチャネチャしています。
加水分解なのでやむを得ないです。
放置です。
リペア (その1):FM 受信で T メータが右側に貼り付いたまま
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調査と原因
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FM 同調点の [TP10]~[TP11] 電圧を測定するとどの周波数でも 4.9V で異常です。
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ここの電圧の調整目標値は 0±10mV ですから全然ダメです。
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[T2] を調整しても S カーブが出ません。
[T2] が完全に故障しています。
これが原因です。
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修理
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左の写真で赤〇で囲んだ部品が [T2] です。
これを基板から取り出したのが右の写真です。

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左の写真は取り出した [T2] の裏側です。
チクワの形をしたチタコンが黒くなって劣化しています。
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[T2] から劣化したチタコンを除去し基板に戻しました。
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除去したチタコンの代わりに、右の写真のように基板の裏側で温度補償 30ppm 積層セラミックコンデンサ 100pF を取り付けました。

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修理後の動作チェック
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[T2] を調整すると S カーブが出て、同調点電圧を 0V にすることができました。
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S メータは放送局の周波数でセンタに白色表示され、[STREO] 表示も出て全て直りました。
リペア (その2):RCA 端子へ挿入したプラグを揺すると音が途切れる
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調査と原因
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基板の裏側でハンダクラックがないかチェックしてみましたが、問題ありませんでした。
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こうなると RCA 端子の内部ピンが変形したか金属破断したとしか考えられません。
RCA 端子台の交換が必要です。
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修理
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新品の RCA 端子台互換品と交換しました。
もちろん新品なのでクロムメッキ部分がピカピカ輝いた端子です。
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左の写真は交換前 RCA 端子で、右の写真は交換後の RCA 端子です。
新品なので黄ばみがなく綺麗なのがわかるでしょ。

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修理後の動作チェック
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新品に交換したので当たり前ですが、RCA プラグを揺すっても音が途切れることはなくなりました。
再調整
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電源電圧チェッック (VP)
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修理後の電源基板の電圧は以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| 電源基板 CN1-1pin |
-15V |
-13.3V |
〇 |
OP アンプ |
| 電源基板 CN1-3pin |
+5.6V |
+5.60V |
〇 |
コントローラ |
| 電源基板 CN1-4pin |
+28V |
+28.1V |
〇 |
VT 電源 |
| 電源基板 CN1-6pin |
+15V |
+14.1V |
〇 |
チューナ、OP アンプ |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信
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フロントエンドのトラッキングで調整ズレがありました。
再調整で感度が 20% 程度上がりました。
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PLL 検波でやや調整ズレしていました。
再調整で規定内に入りました。
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ステレオセパレーションが 30dB 程度に落ち込んでいましたが、再調整で大きく改善しました。
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高調波歪率が大きく改善し素晴らしい音質になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
65 |
61 |
dB |
| NARROW |
59 |
60 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.0087 |
% |
| stereo |
0.028 |
% |
| NARROW |
mono |
0.012 |
% |
| stereo |
0.040 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-89 |
-79 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
+0.01 |
dB |
| REC CAL |
WIDE |
mono |
398 |
Hz |
| -5.8 |
dB |
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AM 受信
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到着時にやや感度落ちしていると感じましたが、原因はなんと! IF 調整ズレでした。
過去に誰かが IF 調整をいじったのかも?
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[純正 AM ループアンテナ] で最高感度になるように再調整しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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故障が全て直り新品時の素晴らしい性能が蘇ってよかったです。
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今回交換した RCA 端子台はあちこちの製品で使われています。
互換品の入手ルートができたので、今後は交換で対処しようと思います。
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デザイン
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高級感を目指しているのではなく、通信機に近いカチッとしたデザインです。
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薄型デザインですが、チューナに必要な機能はフル装備です。
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電波が強力な FM 放送を高音質で聴くには [IF BAND : WIDE] [QUIETING CONTROL : NORMAL] に設定します。
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感度と音質
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高級チューナにも匹敵する高性能で、FM 放送を高音質に聴きたい期待に応えてくれます。
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感度はかなり高く申し分ありません。
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素性が良いので、
流石に良い音
です。
ハッキリ・クッキリの明瞭度の高い音です。
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上位機種の
KT-1100D
よりメンテナンス性が良く、構成や性能・音質がほぼ変わらず、お奨めチューナ
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亡き越谷在住のオーディオ評論家
長島鉄男
さんが絶賛したチューナというのがよくわかります。