KENWOOD KT-1010F (8号機) が到着
2024年6月1日、東京都北区の I さんより
KENWOOD KT-1010F
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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一応聞こえているもののノイズが多いです。
ただしフィーダーアンテナなので電波が弱い可能性もあります。
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ただし購入以来無調整なので調整ズレによるものとも考えられ、調整をお願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [59K11444] で、電源コードの製造マーキングより [1985年製] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] の添付はありませんでした。
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汚れがありますが、致命的なキズなどはなく、良い状態です。
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天板に少しベタツキが出ています。
使用には問題はないですが。
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リアパネルの端子類に少しサビが出ています。
使用はできると思います。
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電源 ON して動作チェック
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電源は問題なく入りました。
FL ディスプレイは新品同様に明るいです。
操作ボタンの反応は正常です。
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プリセットメモリが全て初期値に戻っていました。
バックアップ用電解コンデンサが寿命になっていると思います。
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FM 受信
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-0.2MHz の周波数ズレがあり、81.3MHz の放送が 81.1MHz で受信します。
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WIDE では [STEREO] 表示が出ますが、NARROW では不安定です。
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感度落ちしている感じがします。
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AM 受信
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純正でない手持ちの AM ループアンテナを接続して確認しました。
特に問題なく、良好に受信できます。
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カバーを開けてチェック
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内部は非常に綺麗で、目視で劣化とわかる部品は無さそうです。
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黒色のリボンケーブルの一部で表面がネチャネチャしているものがあります。
加水分解なのでやむを得ないです。
リペア (その1):プリセットメモリをバックアップする電解コンデンサが寿命になっている
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概要
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プリセットメモリのバックアップを [C243] 2200uF/6.3V 電解コンデンサで行っています。
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KT-1010F の AC プラグが壁コンセントに差し込まれていると、常に [C243] とプリセットメモリに給電されています。
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この場合はプリセットメモリが消えることはありません。
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上記のように KT-1010F を使っていない時でも、[C243] には常に電圧が印加されているので劣化しやすいのです。
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修理 (寿命交換)
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左の写真は [C243] 交換後で、右の写真はこれまで実装されていた劣化していると思われる電解コンデンサです。

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以下は交換部品リストで、信頼性を上げるため高耐熱品に交換しています。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C243 |
2200uF/6.3V (85℃) |
2200uF/6.3V (105℃) |
電解コンデンサ |
リペア (その2):ハンダクラックの予防補修
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ハンダクラックしやすい箇所
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左の写真はリアパネルにある [RCA 端子] [FM/AM アンテナ端子] です。
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これらはリアパネルと基板の2方向から常にストレスが掛かっているのでハンダクラックしやすいです。

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予防補修
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基板の裏側で上記端子のハンダ付け部の古いハンダを除去してから新たに補修ハンダ付けしました。
リペア (その3):その他
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FM で -0.2MHz の周波数ズレがある
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FM 同調点検出用 [T2] の再調整で直りました。
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[NARROW では STEREO 表示が不安定] の現象も同時に直りました。
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感度落ちしている
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FM フロントエンドの再調整で直りました。
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当方の受信環境 (84dBf) では [RF SELECTOR : DIRECT] でも S メータの振れがフルになりました。
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天板に少しベタツキがある
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無水アルコールで拭き取り、少しマシになりました。
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少し拭きムラが出ましたが、これはカーワックス掛けすると改善すると思います。
こちらではやっていません。
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リアパネルの端子類にサビが出ている
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軽くサビ落としをやってマシになりました。
完全にやるのは修理依頼者のほうでお願いします。
再調整
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電源電圧チェッック (VP)
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以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| 電源基板 CN1-1pin |
-15V |
-13.3V |
〇 |
OP アンプ |
| 電源基板 CN1-3pin |
+5.6V |
+5.53V |
〇 |
コントローラ |
| 電源基板 CN1-4pin |
+28V |
+28.3V |
〇 |
VT 電源 |
| 電源基板 CN1-6pin |
+15V |
+14.3V |
〇 |
チューナ、OP アンプ |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信
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フロントエンドでトラッキング調整ズレがありました。
再調整で感度が少し上がりました。
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同調点検出が大きく調整ズレていました。
PLL 検波でやや調整ズレしていました。
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ステレオセパレーションと高調波歪率が大きく改善し、素晴らしい音質になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
66 |
61 |
dB |
| NARROW |
59 |
56 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.0097 |
% |
| stereo |
0.0099 |
% |
| NARROW |
mono |
0.037 |
% |
| stereo |
0.037 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-87 |
-77 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
-0.03 |
dB |
| REC CAL |
WIDE |
mono |
398.4 |
Hz |
| -6.2 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、IF 調整だけ実施しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時はいろいろ不具合ありましたが、再調整で本来の性能に蘇りました。
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FM 性能と音質は素晴らしく良いです。
高級チューナと比べても互角の性能です。
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デザイン
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高級感を目指しているのではなく、通信機に近いカチッとしたデザインです。
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[KT-1010] [KT-1010Ⅱ] の後継機で寸法は全く同じです。
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薄型デザインですが、チューナに必要な機能はフル装備です。
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電波が強力な FM 放送を高音質で聴くには [IF BAND : WIDE] [QUIETING CONTROL : NORMAL] に設定します。
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プリセットメモリのバックアップは 2200uF の電解コンデンサなので、電源コードを抜いた状態では1週間程度と思います。
電源コードのプラグを差し込んだ状態では、([POWER] スイッチが OFF でも) 常にこの電解コンデンサに給電されているので、プリセットメモリが消えることはありません。
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感度と音質
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高級チューナにも匹敵する高性能で、FM 放送を高音質に聴きたい期待に応えてくれます。
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感度はかなり高く申し分ありません。
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素性が良いので、
流石に良い音
です。
ハッキリ・クッキリの明瞭度の高い音です。
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上位機種の
KT-1100D
よりメンテナンス性が良く、構成や性能・音質がほぼ変わらず、お奨めチューナ
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亡き越谷在住のオーディオ評論家
長島鉄男
さんが絶賛したチューナというのがよくわかります。