KENWOOD KT-1100D (6号機) が到着
2024年3月31日、東京都東村山市の O さんより
KENWOOD KT-1100D
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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社会人一年生の頃、購入して現在も使用しています。
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7~8年前にチューニングがズレたので KENWOOD に修理に出しました。
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その際に一部コンデンサーの交換はありましたが、大きな不具合はありませんでした。
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昨年夏頃から再度同調がズレ始めました。
夏は本体が温まるとズレが治りますが、冬はズレが治りません。
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このまま置いておくのも気持ちが悪いので修理をお願いします。
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同調ズレ以外には特に問題はないと思いますが、交換した方が良い部分がありましたらその修理もお願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [80700388] で、電源コードの製造マーキングより [1988年製造品] とわかりました。
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底面に KENWOOD メンテナンスシールが貼られていました。
2015年4月9日に修理されています。
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[純正 AM ループアンテナ] は添付されていませんでした。
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汚れはありますがキズ等はなさそうで良い状態です。
リアパネルの端子類にも輝きが残っています。
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電源 ON して動作チェック
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電源は入り、ディスプレイは正常表示しました。
ディスプレイには少し痩せがありますが、まだまだ使えます。
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[TUNING] ノブや操作ボタンは正常に反応します。
[REC CAL] ボタンでテスト音も出ます。
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FM 受信
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問題なく受信できて [STEREO] 表示も出ます。
音も問題ないです。
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オートチューニングで放送周波数の -0.1MHz で止まります。
周波数ズレしています。
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周波数ズレを仮調整して直し、軽く現状のオーディオ性能を測定してみました。
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ステレオセパレーション性能が劣化しているようです。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
36 |
35 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.030 |
% |
| stereo |
0.030 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-88 |
-65 |
dB |
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AM 受信
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手持ちの純正ではないループアンテナを接続してチェックしました。
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やや感度が落ちている感じはありますが、特に問題なく受信できます。
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カバーを開けてチェック
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基板は綺麗で、目視でわかる部品劣化はないようです。
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メモリバックアップ用電気二重層コンデンサ [C178] を 1F/5.5V に交換してありました。
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でも取付方法が稚拙です。
足を折り曲げるのではなく、電極板を広げるほうが綺麗にしっかり実装できます。
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ミテクレの問題だけで、動作には特に問題はないので、ここはこのままとします。
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修理方針
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| Q40-E |
+15V |
+14.9V |
+14.6V |
〇 |
| Q42-E |
-14V |
-13.5V |
-13.0V |
〇 |
| IC14-OUT |
+5V |
+5.6V |
+5.63V |
〇 |
| Q46-E |
+28V |
+28V |
+28.2V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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大きな同調ズレがありましたが、基準値内に回復しました。
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フロントエンドでトラッキングズレがあり、調整で大きく感度が上がりました。
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PLL 検波で大きなズレがあり、再調整で高調波歪率が改善しました。
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ステレオ SUB レベル調整が大きくズレていました。
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調整前のステレオセパレーションは 35dB でしたが、以下の優秀値に調整できました。
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ステレオセパレーションと高調波歪率の大幅改善で、ハッとする素晴らしい音になりました。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
70 |
70 |
dB |
| NARROW |
70 |
70 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.0030 |
% |
| stereo |
0.0030 |
% |
| NARROW |
mono |
0.011 |
% |
| stereo |
0.028 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-90 |
-66 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
-0.11 |
dB |
| FM REC CAL 信号 |
WIDE |
mono |
409.1 |
Hz |
| -7.3 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったのでトラッキング調整できないので、IF 調整だけ実施しました。
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IF 調整だけで感度は大きく上がりました。
よほど調整ズレしていたようです。
使ってみました
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今回のメンテナンスの感想
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到着時にはかなり調整ズレがありましたが、再調整で優秀な性能に蘇りました。
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音質も聴き違えるほど素晴らしい音になりました。
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2015年4月9日に KENWOOD サービスで修理している割には根本的な箇所での調整ズレが多い気がしました。
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再調整後は KT-1100D の中でも最上位の性能に蘇っています。
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FM の音質はシャッキとした高音域が特長
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ハッとするような素晴らしくクリアな音
です。
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ソースの持つ質感や雰囲気をうまく表現します。
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AM の音質も良い
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でも、このような高級チューナで AM 聴く人いないような ・・・