KENWOOD KT-3030 (7号機) が到着
2026年7月4日、栃木県宇都宮市の S さんより
KENWOOD KT-3030
の修理依頼品が到着しました。
定価12万円
の高級 FM 専用チューナです。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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ヤオフクで入手しました。
電源部のコンデンサーが破裂していたため、手持ちのもので交換しました。
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ディスプレイの数字欠けがあり、半田クラックを直しました。
プリセット情報のバックアップコンデンサを交換しました。
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STEREO の赤い表示が薄いですが、表示管の劣化であればこのまま使用します。
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保有している KT-1100D と比べて少し感度が低いようです。
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お隣の県の NAC5 にチリチリとノイズが入ります。
KT-1100D では入りません。
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劣化した部品があれば、交換お願いします。
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [57K10272] で、電源コードの製造マーキングより [1985年製造品] とわかりました。
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全体的にはかなり綺麗です。
よくよく見ればスレや汚れなどはあるのですが目立たないです。
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アンテナ端子が [簡易 F 端子]→[F 端子] に交換されています。
RCA 端子には輝きが残っています。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、FL ディスプレイの所々にヤセ (特に赤色表示) がありますが、まだまだ使えます。
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操作はでき、周波数ズレはなく、[STEREO] 表示が出て問題なく受信できます。
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(筆者の電波環境では) [S メータ] はフルに振れ、感度落ちは感じません。
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AUTO TUNING で放送局の正しい周波数で停止します。
FM 同調点ズレは無さそうです。
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[REC CAL] ボタン ON で正常にテスト音が出ます。
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大きな問題はないので、現状のオーディオ性能を測定してみました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
Super Wide |
stereo |
47 |
45 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
Super Wide |
mono |
0.032 |
% |
| stereo |
0.038 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
Super Wide |
stereo |
-49 |
-72 |
dB |
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カバーを開けてチェック
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筐体内は綺麗です。
基板も綺麗で目視で明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
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[電源基板] の電解コンデンサは全数交換されているようです。
リペア (その1):分解して基板を点検
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概要
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F 端子や電解コンデンサなどが交換されており、以前に誰かがメンテンテナンスしているようです。
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修理依頼者がやったのか、ヤフオク出品者がやったのか、誰がメンテナンスしたか不明です。
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そこで、やむを得ず、分解して基板のメンテナンス状態をチェックしてみることにしました。
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KT-1100D と比べて少し感度が低い ・・・ 修理依頼者より
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筆者の環境では感度落ちは確認できませんでしたが、修理依頼者が言っているのでチェックしてみました。
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感度落ちの要因は「FM フロントエンドのトリマコンデンサ劣化」か「トリマコンデンサの調整ズレ」です。
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トリマコンデンサをチェックするには、かなりの部分の分解が必要になりますが、やるしかないです。
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トリマコンデンサを全数交換するつもりで分解したら、なんと! 既に全数交換済みでした。
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残るは調整ズレですが、これは「再調整」で確認します。
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RCA 端子のハンダクラック対策
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RCA 端子のリードと基板のハンダ付け部分は補修ハンダ付けされていました。
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オーディオ出力のボリュームのリードと基板のハンダ付け部分は補修ハンダ付けされていました。
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以上よりハンダクラック対策はされていると確認できました。
リペア (その2):その他
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お隣の県の NACK5 にチリチリとノイズが入る ・・・ 修理依頼者より
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これは修理依頼者宅では NACK5 の電波が弱いからと思います。
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ところが、筆者には修理依頼者宅と同じ電波環境がないので確認しようがないです。
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しかし、今回のメンテナンスで再調整したので直ったかもしれません。
確認しようがないので何とも言えませんが。
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FL 表示の [STEREO] の表示が薄い
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チェックしたところ、赤い [STEREO] だけでなく赤の表示する全てが薄いです。
また白表示の箇所にもヤセがあります。
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これは FL 表示管の劣化なので回復は無理です。
見えない訳ではないのでこのまま使用ください。
再調整
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電源電圧チェッック (VP)
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[電源基板] 修理後の実測値は以下のように良好になりました。
| 基板 |
VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| チューナ基板 |
CN1-1pin |
-12V |
-12.0V |
〇 |
OP アンプ |
| CN1-2pin |
+12V |
+11.7V |
〇 |
チューナ全般 |
| CN1-3pin |
+15V |
+15.7V |
〇 |
MPX |
| CN1-5pin |
+5.6V |
+5.61V |
〇 |
MCU |
| CN1-7pin |
+54V |
+54.8V |
〇 |
VT 電源 (+B) |
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FM 受信部の調整
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調整結果
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FM フロントエンドのトラッキング調整で少し感度が上がりました。
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最近に調整されているのか、大きな調整ズレはありませんでした。
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再調整により、以下のように素晴らしい性能が出ました。
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ステレオセパレーションは100倍良くなって音の解像度が大きく上がりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
Super Wide |
stereo |
68 |
64 |
dB |
| Wide |
65 |
63 |
dB |
| Narrow |
61 |
60 |
dB |
| Super Narrow |
57 |
57 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
Super Wide |
mono |
0.0071 |
% |
| stereo |
0.012 |
% |
| Wide |
mono |
0.010 |
% |
| stereo |
0.021 |
% |
| Narrow |
mono |
0.018 |
% |
| stereo |
0.026 |
% |
| Super Narrow |
mono |
0.036 |
% |
| stereo |
0.043 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
Super Wide |
stereo |
-78 |
-76 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
Super Wide |
mono |
0 |
+0.06 |
dB |
| REC CAL |
Super Wide |
mono |
398 |
Hz |
| -6.5 |
dB |
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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既に最近に調整していると思われ、大きな調整ズレはありませんでした。
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ステレオセパレーションや高調波歪率は優秀クラスに調整できました。
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修理依頼者は感度を気にしているようですが、感度だけで言えば安物の3連バリキャップ式のチューナのほうが高いのです。
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高級機は安定度と妨害電波排除能力に重きを置いているので、感度はそう高い訳ではありません。
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高級機はマルチパスの少ない高い電波レベルを要求します。
良い電波を高音質で再生するのが高級機なのです。
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少なくとも、筆者のマルチパス妨害のない 80dBf 以上の電波環境では良い音が出ています。
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感度と音質
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感度と妨害電波排除能力は素晴らしく良いです。
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良い音です。
再調整後の試聴で音楽に聴き惚れてしまいました。
素晴らしい!
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やはり
定価12万円
だけのことはあります。
優れた機種です。