KENWOOD L-01T (7号機)

KENWOOD L-01T (7号機) が到着

2024年5月19日、香川県小豆郡の K さんから KENWOOD L-01T の修理依頼品が到着しました。

定価16万円 の高級 FM 専用チューナで パルスカウント検波 です。

この写真は照明 LED 化後です。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



リペア (その1):電源 ON してから10分程度経たないと音が出ない

  1. 調査&原因

    1. 音が出るまでに時間がかかるということで、まずは Power ON/OFF Muting を疑いました。

      • Power ON/OFF Muting 回路を調べましたが正常で、これではありませんでした。

    2. Multipath-H 出力にはパルスカウント検波出力がそのまま出ています。

      • 音が出ない時は Multipath-H にも音が出ていませんでした。

      • こうなると、パルスカウント検波出力がおかしいことになります。

    3. パルスカウント検波を調査

      • パルスカウント検波では 10.7MHz の IF 周波数を 1.96MHz の 2nd IF に周波数変換します。

      • 2nd IF を作るためにローカル OSC を使うのですが、音が出ていない時はこの OSC が発振していないと判明しました。

    4. 2nd IF 用ローカル OSC を調査

      • 左の回路はローカル OSC の部分です。 赤枠で囲んだ [L8] が OSC コイルです。

        • [L8] はチタコンを内蔵しており、普通にはこのチタコンの故障だと思われます。

      • 右の写真で赤〇で囲んだコイルが [L8] です。

        • 修理依頼者がドライヤで温めて怪しいと判断して交換した電解コンデンサのごく近くです。

        • ドライヤの熱風はピンポイントで当てるのは難しく、[L8] にも風が当たってしまって一時的に直ったのでしょう。

       

    5. [L8] を基板から取り出して調査

      • 左の写真は取り出した [L8] で、右の写真はその裏側です。

      • 右の写真でチクワの形をした部品が内蔵チタコンです。 マイグレーションが発生して真っ黒になっています。

        • 発振回路に使うコイルはある程度の Q が必要です。 マイグレーションは Q を下げてしまいます。

      • 原因は [L8] 内蔵チタコンの劣化です。 マイグレーションは不安定なので加熱等で一時的に直ることもあります。

       

  2. 修理

  3. 修理後の動作確認



リペア (その2):照明用フィラメントランプの完全 LED 化

  1. 従来の照明回路と [照明基板]

  2. リプレースに使う LED

  3. LED 化した表示回路と LED 化した照明基板

  4. L-01T はテープ LED 照明化すると幸せになれます!

  5. LED 化前に実装されていた部品



リペア (その3):[TUNING] ノブを回すとガソゴソとノイズが出る

  1. 原因

  2. 対策



リペア (その4):ハンダクラックの予防補修

  1. L-01T でハンダクラックの発生しやすい箇所は RCA 端子

  2. 予防補修



リペア (その5):その他

  1. RCA 端子のサビ落とし

  2. フロントエンドカバーと電源トランスのクリーニング



再調整

  1. 電源電圧チェッック (VP)

  2. FM 受信部の調整

  3. 調整結果



使ってみました

  1. 修理&再調整が終わって

  2. デザイン

  3. リアパネルにある [CONTINUOUS DIAL LIGHT] スイッチ

  4. 感度や音質