Marantz ST6000

Marantz ST6000 が到着

2022年11月1日、仙台市の K さんから Marantz ST6000 の修理依頼品が到着しました。

今や黄昏の AM Stereo 対応チューナです。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 以下の IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    FAIRCHILD KA7805 3-Terminal 1A Positive Voltage Regulator (+5V)
    KA7815 3-Terminal 1A Positive Voltage Regulator (+15V)
    MOTOROLA MC13022DW AM Stereo Decoder
    NXP HEF4066B Quad Analog Switch/Multiplexer (4066B と同じ)
    SANYO LA1135 AM Tuner System
    LA1235 FM IF System
    LA3401 VCO Non-Adjusting PLL FM MPX
    LC72131 電子同調用 PLL 周波数シンセサイザ
    STM MC4558S Dual Operational Amplifier (NJM4558 と同じ)
    TOSHIBA TA7060P FM IF Amplifier
    TMP87PM78F CMOS 8-Bit Microcontoroller

  3. FM フロントエンド

  4. IF 部

  5. FM 検波部

  6. MPX 部

  7. AM 受信部

  8. プリセットメモリのバックアップ



リペア

  1. FM 受信で [STEREO] 表示が点滅したり消灯する / 音が歪っぽい

  2. AM 受信で感度が低下している



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    FM/AM 機能 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L L2
    L5
    L6
    RF トラッキング
    L7 OSC トラッキング
    IFT IFT IF
    IF IFT T101 QR 同調点
    T102 QR 歪補正
    VR VR11 TUNED ADJ
    VR12 SM ADJ
    MPX VR VR51 WIDE SEP. ADJ
    VR52 NARROW SEP. ADJ
    AM フロントエンド L L203 RF トラッキング
    TC CT21
    L L204 OSC トラッキング
    IF IFT T201
    T202
    IF
    T205 AM STEREO IF
    VR VR21 TUNED ADJ
    VR VR22 SM ADJ

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    TP11 [TP11]〜GND VT 電圧  
    TP12 [TP12]〜[TP13] QR Null 0±10mV
    TP13
    D206 カソード [D206 カソード]〜GND S メータ電圧  

  3. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    J226 (15V) +15V +15.0V
    J227 (5.6V) +5.6V +5.63V

  4. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST6000 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND : FM
    FM/AM MODE : STEREO
    IF BAND : WIDE
    - -  
    2 - 76MHz 受信 L7 [TP11] 電圧 = 1.6V OSC トラッキング調整
    3 83MHz 30dB
    無変調
    83MHz 受信 L2
    L5
    L6
    [D206 カソード] 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    4 83MHz 90dB
    mono 1kHz
    T102 オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 検波調整
    5 T101 [TP12]〜[TP13] 間電圧 = 0±10mV
    6 手順4〜5を数回繰り返す
    7 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L+R
    83MHz 受信 L302 オーディオ出力 (L) = 19kHz 成分最小 キャリアリーク調整
    8 L303 オーディオ出力 (R) = 19kHz 成分最小
    9 83MHz 90dB
    stereo 1kHz R/L
    VR31 オーディオ出力 (L/R) = 最小 WIDE
    セパレーション調整
    10 83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    VR32 NARROW
    セパレーション調整
    11 83MHz 35dB
    無変調
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    VR11 [TUNED] 表示 = ON/OFF 閾 AUTO STOP 調整
    12 83MHz 66dB
    無変調
    VR12 S メータ = 59〜61dB S メータ調整

  5. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST6000 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND : AM
    FM/AM MODE : STEREO
    - -  
    2 - 522kHz 受信 L204 [TP11] 電圧 = 1.0V OSC トラッキング調整
    3 603kHz 40dB
    無変調
    603kHz 受信 L202 [D206 カソード] 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    4 1404kHz 40dB
    無変調
    1404kHz 受信 CT21
    5 手順3〜4を数回繰り返す
    6 999kHz 40dB
    無変調
    999kHz 受信 T201
    T202
    [D206 カソード] 電圧 = 最大 IF 調整
    7 999kHz 80dB
    無変調
    VR21 [TUNED] 表示 = ON/OFF 閾 AUTO STOP 調整
    8 999kHz 100dB
    無変調
    VR21 S メータ = 75〜80dB S メータ調整

  6. 調整結果

    1. FM 受信部の再調整結果

      • OSC トラッキングが 20% 以上ズレていました。 再調整で正常値に戻りました。

      • 感度が大きく低下していました。 フロントエンドの RF 調整で大きく感度が上がりました。

      • 同調点が基準値 10mV 以内のところ、300mV と大きくズレていました。 再調整で正常値に戻りました。

      • 再調整により、ステレオセパレーションと高調波歪率が大きし、優れた音質になりました。

      • ステレオセパレーションは 50dB 程度あるので良好です。

        項目 IF BAND L R 単位
        ステレオセパレーション (1kHz) WIDE 50 49 dB
        NARROW 50 41 dB
        ステレオ高調波歪率 (1kHz) WIDE 0.04 0.04 %
        NARROW 0.07 0.07 %
        モノラル高調波歪率 (1kHz) WIDE 0.04 %
        NARROW 0.06 %
        パイロット信号キャリアリーク WIDE -76 -77 dB
        オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 -0.10 dB

    2. AM 受信部の再調整結果

      • OSC トラッキングが 20% 以上ズレていました。 再調整で正常値に戻りました。

      • AM は2個ある IFT の両方とも大きく調整ズレしていました。 再調整で感度アップしました。

      • なお、純正の [AM ループアンテナ] で調整した訳ではないので、修理依頼者の [AM ループアンテナ] では性能が出ない可能性あります。



使ってみました

  1. デザイン

  2. FM の受信性能&音質

  3. AM の受信性能&音質



仕様など

  1. ドキュメント

  2. 仕様



  3. 発売情報

    発売時期 定価
    1999年 30,000円