QUAD FM4 (3号機) が到着
2025年7月14日、埼玉県越谷市の M さんより
QUAD FM4
の修理依頼品が到着しました。
定価198,000円
の FM 専用機です。
PLL シンセサイザ方式ではなく、多回転可変抵抗器でバリキャップ電圧を変えて同調します。
かなりバリコン式に近いです。
程度&動作チェック
-
修理依頼者のコメント
-
6年前に今はなくなってしまいましたが名古屋のコスモスベリーズから購入しました。
-
今のところ作動に異常はないと思いますが、プリセットメモリー用バッテリーの液漏れが心配です。
-
調整と必要なリペアをお願いします。
-
外観
-
製造シリアル番号は [035795] でした。
-
少し汚れがあるかなという程度でどこにもキズやスレがなく端子類も綺麗で外観良好です。
-
電源 ON してチェック
-
電源は問題なく入り、FL 表示器も新品同様の輝度があります。
-
FM 受信でき [stereo] 表示も出て音が正常に出ます。
問題なさそうです。
-
同調ノブや各ボタンの動作は正常です。
プリセットもできました。
-
動作に問題はないので、現状のオーディオ特性を測定しました。
十分使える性能を保っていました。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
39 |
40 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.27 |
% |
| stereo |
0.28 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-61 |
-66 |
dB |
-
カバーを開けてチェック
-
使用 IC のロット番号より、この FM4 は [1991年製造品] と判明しました。
-
基板は非常に綺麗で目視では劣化が確認できる部品は見当たりません。
-
心配したメモリバックアップ用 Ni-MH バッテリから液漏れはありませんでした。
リペア (その1):Ni-MH バッテリ用プチ改造
-
概要
-
Ni-MH バッテリの液漏れはなく基板は綺麗でした。
-
この状態ならオリジナリティを保つ意味からも、このままが良いと思いました。
-
Ni-MH バッテリが液漏れをおこすのは電池が空になった時です。
-
半年とか長期に渡って電源を入れない可能性がある場合は、Ni-MH バッテリを切り離したほうがよいです。
-
Ni-MH バッテリ切り離しを簡単に行えるプチ改造をすることにしました。
-
プチ改造
-
左の写真は改造前です。
緑のプラスチックケースに入っている青色の物体が Ni-MH バッテリです。
-
Ni-MH バッテリに赤線と黒線がハンダ付けされていますが、ここがバッテリの電極です。
-
右の写真は改造後です。
1pin コネクタを取り付けた赤線で Ni-MH バッテリの+電極に接続しました。
-
この 1pin コネクタを外すと Ni-MH バッテリの切り離しができるようになりました。

-
コメント
-
Ni-MH バッテリは空にならないようにさえ気を付けていれば大丈夫です。
-
どういうように気を付けるかというと、毎日使っていればよいです。
-
バッテリが空になるまでに電気を入れて(使うということ。)バッテリに充電すればよいです。
-
1週間以上使わなかった時は次に電気を入れた時に半日程度通電したままにします
-
半年以上使わない状況が想定される場合は以下のようにすれば大丈夫です。
-
リアパネルの左右にある2本の+ネジを外してカバーを外します。
-
Ni-MH バッテリの赤線につないだ 1pin コネクタを外します。
リペア (その2):ハンダクラック予防補修
-
ハンダクラックしやすい箇所
-
写真はリアパネルにある [アンテナ端子] [RCA 端子] の裏側です。
端子のリードが基板に直接ハンダ付けされています。
-
ここはリアパネルと基板の2方向から常にストレスがかかるのでハンダクラックしやすいです。

-
予防補修
-
[アンテナ端子] [RCA 端子] のリードと基板とのハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
リペア (3):その他
-
電源部のアルミカバーのクリーニング
-
電源部のアルミカバーには誰かが触った指紋がベタベタ付いており汚れもあり気にかかりました。
-
アルミカバーは [赤い警告シール] を剥がしてから無水アルコール洗浄しました。
-
アルミカバーがピカピカになったので、
JAPAN ワックス
で防錆処置しました。
-
筐体の清掃
-
筐体に汚れがあったので、中性クリーナの
リンレイ NEW プロインパクト
を使ってクリーニングしました。
-
到着時よりは綺麗になりました。
クリーニングに使ったウェスには黄色の汚れが付きました。
タバコのヤニか?
再調整
-
電源電圧チェッック (VP)
-
実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| C6 +端子 (R19(右)) |
+12V |
+12.0V |
〇 |
チューナ |
| C4 (C46) +端子 |
+30V |
+32.4V |
〇 |
FL (表示) |
| C57 (C53) +端子 |
+7V |
+6.95V |
〇 |
FL (ヒ-タ) |
-
FM 受信部の調整
-
調整結果
-
調整ズレは少なく良い状態でした。
それでも再調整で到着時より、以下のように全ての数値が向上しました。
-
そもそも、このチューナはスペックではなく音質志向ですから、こんなものでしょう。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
46 |
45 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.15 |
% |
| stereo |
0.17 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-65 |
-67 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
mono |
0 |
+0.08 |
dB |
使ってみました
-
修理&再調整が終わって
-
この QUAD のデザインはいつ見ても良いです。
小型で精密感があります。
-
再調整が終わって音出しすると、繊細な音が出ました。
これがヨーロッパサウンドでしょう。
-
良いチューナと思います。
気軽に使うにちょうどよいです。
とは言っても20万円ですが・・・
-
小気味良い QUAD デザイン
-
ほぼ A4 サイズでコンパクトです。
-
筐体は梨地塗装されたグレーの金属ケースで全体を覆っています。
-
FL ディスプレイはグリーンで落ち着いた表示です。
-
チューニングノブやファンクションボタンは梨地仕上げで適度に小さく上品です。
-
FM アンテナ入力は PAL 端子なので、雑音電波が混入しないです。
-
感度と音質
-
感度はローカル局を聴くには十分です。
-
スペック的にはセパレーションも歪率も良いというほどのことはないですが、非常にクリアな音質です。
-
音に張りがあります。
使っている部品のグレードが高いからでしょうかね。
不思議です。