SONY ST-S333ESA (20号機) が到着
2025年8月18日、群馬県太田市の T さんより
SONY ST-S333ESA
の修理依頼品が到着しました。
写真は修理後です。
S メータがフルに振れるようになりました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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ハードオフより購入当初 FM アンテナ入力0でしたが別の日 OK になっていました 気のせい?
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同調点がずれていたので調整しましたが自信がないです。他はいじっていません。
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感度が低いようです。
プリセットメモリも消えてしまいます。
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クリコンを作成しましたので2つのアンテナ入力を生かして好きな FM 放送を楽しみたいです。
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外観
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製造シリアル番号は [202221] で、電源コードの製造マーキングより [1992年製造品] と判明しました。
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[純正 AM ループアンテナ] が添付されていました。
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汚れやスレが多い並みの中古より少し劣る状態ですが、フロントパネル正面はそこそこ綺麗です。
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左側サイドウッドに化粧ツキ板の剥がれがあります。
左右どちらにも線スレが目立ちます。
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1997年5月8日付けのメーカ修理シールが貼ってあります。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、表示器は少し薄くなっている部分がありますがまだまだ使えます。
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各ボタンはそれなりに反応します。
[REC CAL] ボタンでテスト音が出ました。
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FM 受信
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AUTO TUNING で正しい放送局の周波数で停止します。
同調点ズレはなさそうです。
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S メータの振れは 60% 程度で少し感度落ちしています。
[STEREO] 表示が出て正常に受信できます。
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AM 受信
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やはり [純正 AM ループアンテナ] です。
感度よく良好に受信できました。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗ですが、基板には薄っすらとスス状のゴミが付着しています。
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基板を目視で眺めて明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
リペア (その1):FM で感度落ちしている
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調査と原因
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FM フロントエンドの RF トリマコンデンサ [CT101] [CT102] を回しても容量変化がありません。
[CT103] も不安定です。
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RF トリマコンデンサが3個とも故障しています。
これが感度落ちの原因です。
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修理
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[トリマコンデンサ] ×3個を一斉交換しました。
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左の写真は交換後で、赤〇で囲んだ部品がトリマコンデンサです。
10pF セラミックトリマコンデンサにしました。
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右の写真はこれまで基板に実装されていた故障したトリマコンデンサです。
底部にあるハトメ部分がサビて接触不良になるのです。

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修理後の動作確認
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交換したトリマコンデンサを再調整して (筆者の環境では) S メータがフルに振れるようになりました。
直りました!!!
リペア (その2):プリセットメモリが消える ・・・ 修理依頼者より
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概要
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[電気二重層コンデンサ] は電源 OFF 時のプリセット情報をバックアップします。
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[タンタルコンデンサ] は短絡事故が多く、別の種類のコンデンサに交換すると幸せになります。
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使われていたタンタルコンデンサの耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
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タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
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半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
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換装する積層セラミックコンデンサはタンタルより ESR が低く高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
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修理
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以下のリストように部品を交換しました。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C604 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
|
| C605 |
0.1F/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
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左の写真は交換後で、小さな赤〇で囲んだのが [C604] で、大きな赤〇は [C605] です。
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右の写真はこれまで基板に実装されていた劣化した電気二重層コンデンサとタンタルコンデンサです。

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修理後の動作確認
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正常にプリセット保存と読み出しができることを確認しました。
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コメント
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電気二重層コンデンサは 0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
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実際には自己放電もあるので数ヶ月でしょう。
リペア (その3):ハンダクラック補修
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概要
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ST-S333ES シリーズにはハンダクラックしやすい箇所があるという持病があります。
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左の写真はリアパネルにある端子類の裏側です。
写真のように端子のリードが基板に直接ハンダ付けされています。
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端子のリードのハンダ付け部はリアパネルと基板の2方向から常にストレスがかかりハンダクラックしやすいです。
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基板上に細長い銅板が何枚も走っていますが、これはアースバーです。
電源ラインにも使っていますがアースバーと呼ぶ。
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アースバーの裏側のハンダ付け部分はハンンダクラックしやすいです。
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なぜなら、基板と銅板の熱膨張率が違うからです。

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修理
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[FM アンテナ端子] [AM アンテナ端子] [RCA 出力端子] のハンダ付け部を補修ハンダ付けしました。
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8枚ある全ての [アースバー] のハンダ付け部を補修ハンダ付けしました。
リペア (その4):その他
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基板には薄っすらとスス状のゴミが付着している
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エアブロアと刷毛で軽く清掃して少しマシになりました。
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ハードオフより購入当初 FM アンテナ入力0でした ・・・ 修理依頼者より
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これは筆者のところでは再現しないので何ともわかりません。
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常時発生状態にならないと、どこが要因か特定できず修理できないこと、ご了解ください。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+30.3V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+14.8V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.7V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.3V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5.6V |
+5.72V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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フロントエンドのトリマコンデンサを全数交換したのでトラッキング調整をやり直しました。
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PLL 検波調整が少しズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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パイロットキャンセル調整が大きくズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整でステレオセパレーションと高調波歪率が改善して音の解像度が上がりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
60 |
61 |
dB |
| NARROW |
35 |
35 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.064 |
% |
| stereo |
0.064 |
% |
| NARROW |
mono |
0.10 |
% |
| stereo |
0.10 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-72 |
-74 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
422 |
Hz |
| -5.6 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] で良好に受信できることを確認しました。
再調整で少し感度があがりました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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修理&再調整で新品時の性能が蘇りました。
音も素晴らしく良いです。
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外観はやや問題ありますが、中身は性能の良いチューナです。
これからも楽しんでください。
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デザイン
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シャンパンゴールド基調の優れたデザインです。
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フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
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解像度がある素晴らしい音。
現代の安物チューナとは全く異次元の音です。