SONY ST-S333ESA (22号機) が到着
2025年12月12日、佐賀市の N さんより
SONY ST-S333ESA
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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ハードオフの通常コーナーにて購入したもので、数日動かして異音や発煙等はありませんでした。
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FM 受信時、S メーターの振れが良くないです。
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受信電波はケーブル TV の再送信波です。
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手持ちの ST-S222ESX では最大まで振れますが、本機では真ん中くらいまでしか振れません。
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RCA 端子が接触不良を起こしていそうです。
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2~3時間受信していると片 ch の音が途切れる症状があり、その際 RCA 端子部を手で押さえてみると直りました。
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受信番組の音楽や声の大小に合わせて [STEREO] インジケーターが点滅します。
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外観
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製造シリアル番号は [200968] で、電源コードの製造マーキングより [1991年製造品] と判明しました。
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[純正 AM ループアンテナ] が添付されていましたが、[リモコン] は添付されていませんでした。
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右サイドウッドの中間部の下に小さい化粧板損傷があります。
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上記の他には問題となる箇所がなく非常に綺麗な逸品です。
RCA 端子には輝きが残っています。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、表示器の輝度は新品同様です。
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各ボタンは正常に反応します。
[CAL TONE] ボタンでテスト音が出ました。
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RCA 端子に挿入した右チャンネルのプラグを揺すると音が途切れます。
おそらくハンダクラックしています。
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FM 受信
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周波数ズレはなく、AUTO TUNING でも正しい周波数でストップします。
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S メータの振れは半分程度で感度落ちしています。
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電源 ON 後しばらくは [STEREO] 表示が出て正常な音が出ていました。
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その後、[STEREO] 表示がチラチラと点滅し出しました。
点滅は異常です。
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AM 受信
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添付された [純正 AM ループアンテナ] をつないで確認しました。
感度よく良好に受信できました。
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カバーを開けてチェック
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内部にゴロンとした大きな綿ボコリが転がっていました。
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吹けば簡単に飛ぶようなホコリで油成分はない、変な言いかたかもしれませんが、良質のホコリです。
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基板を目視で眺めて明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
リペア (その1):FM で感度落ちしている
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調査と原因
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FM フロントエンドの RF トリマコンデンサ [CT101] [CT102] [CT103] のどれを回しても容量変化が不連続です。
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RF トリマコンデンサが3個とも劣化しています。
これが感度落ちの原因です。
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修理
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[トリマコンデンサ] ×3個を一斉交換しました。
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左の写真は交換後で、赤〇で囲んだ部品がトリマコンデンサです。
10pF セラミックトリマコンデンサにしました。
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右の写真はこれまで基板に実装されていた故障したトリマコンデンサです。
底部にあるハトメ部分がサビて接触不良になるのです。

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修理後の動作チェック
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交換したトリマコンデンサを再調整して (筆者の環境では) S メータがフルに振れるようになりました。
直りました!!!
リペア (その2):電気二重層コンデンサなどを交換
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概要
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[電気二重層コンデンサ] は電源 OFF 時のプリセット情報をバックアップします。
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[タンタルコンデンサ] は短絡事故が多く、別の種類のコンデンサに交換すると幸せになります。
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使われていたタンタルコンデンサの耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
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タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
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半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
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換装する積層セラミックコンデンサはタンタルより ESR が低く高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
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修理
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以下のリストように部品を交換しました。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C604 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
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| C605 |
0.1F/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
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左の写真は交換後で、小さな赤〇で囲んだのが [C604] で、大きな赤〇は [C605] です。
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右の写真はこれまで基板に実装されていた劣化した電気二重層コンデンサとタンタルコンデンサです。

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修理後の動作チェック
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正常にプリセット保存と読み出しができることを確認しました。
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コメント
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電気二重層コンデンサは 0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
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実際には自己放電もあるので数ヶ月でしょう。
リペア (その3):RCA 端子に挿入した右チャンネルのプラグを揺すると音が途切れる
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原因
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RCA 端子のリードと基板のハンダ付け部を見たら完全にハンダクラックしていました。
これが原因です。
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ハンダクラックしやすい箇所
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ST-S333ES シリーズにはハンダクラックしやすい箇所があるという持病があります。
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左の写真はリアパネルにある端子類の裏側です。
写真のように端子のリードが基板に直接ハンダ付けされています。
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端子のリードのハンダ付け部はリアパネルと基板の2方向から常にストレスがかかりハンダクラックしやすいです。
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基板上に細長い銅板が何枚も走っていますが、これはアースバーです。
電源ラインにも使っていますがアースバーと呼ぶ。
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アースバーの裏側のハンダ付け部分はハンンダクラックしやすいです。
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なぜなら、基板と銅板の熱膨張率が違うからです。

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修理
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[FM アンテナ端子] [AM アンテナ端子] [RCA 出力端子] のハンダ付け部を補修ハンダ付けしました。
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8枚ある全ての [アースバー] のハンダ付け部を補修ハンダ付けしました。
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修理後の動作チェック
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RCA 端子に挿入したプラグを揺すっても音が途切れないことを確認しました。
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アンテナ端子や基板をハンマリング試験しても異常が発生しないことを確認しました。
リペア (その4):その他
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内部にゴロンとした大きな綿ボコリが転がっている
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右サイドウッドの中間部の下に小さい化粧板損傷がある
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化粧板の欠片は残っていたので木工ボンドで補修接着しました。
ラックに入れれば見えない箇所なので、これで十分でしょう。
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なお、損傷の補修ではなく、損傷がこれ以上拡大しないようにする手直しです。
ご了解願います。
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[STEREO] 表示が点滅する
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FM 同調点電圧を測定すると 0.66V ありました。
この値は周波数ズレをおこすギリギリの限界値です。
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この電圧の調整目標値は 0±20mV なので全然ダメです。
これが原因です。
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後述の「再調整」で直りました。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+30.7V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+15.0V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.3V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.4V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5.6V |
+5.62V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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フロントエンドのトリマコンデンサを全数交換したのでトラッキング調整をやり直しました。
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FM 同調点電圧 = 0.66V と大きく調整ズレしていました。
再調整で規定内に入りました。
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PLL 検波調整が少しズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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パイロットキャンセル調整が大きくズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整でステレオセパレーションと高調波歪率が改善して音の解像度が上がりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
64 |
69 |
dB |
| NARROW |
52 |
61 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.0088 |
% |
| stereo |
0.0088 |
% |
| NARROW |
mono |
0.33 |
% |
| stereo |
0.33 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-75 |
-78 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
422 |
Hz |
| -5.7 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] で最高感度になるよう調整しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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修理&再調整で新品時の性能が蘇りました。
音も素晴らしく良いです。
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外観もディスプレイも新品同様だし高調波歪率もかなり低いので、当たりの個体!です。
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リモコンの添付がありませんでしたが・・・
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デザイン
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ブラック基調の優れたデザインです。
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フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
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解像度がある素晴らしい音。
現代のチューナ (値段は高いが。) とは全く異次元の音です。
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AM 受信