SONY ST-S333ESG (10号機) が到着
2023年7月26日、東京都世田谷区の F さんより
SONY ST-S333ESG
の修理依頼品が届きました。
程度&動作チェック
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依頼者のコメント
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ヤフオクで動作品を入手しました。
不良箇所はないのですが、以下の状況が気になります。
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FM は 82.5MHz (NHK) だけがプツプツ音が混じります。
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AM は高い周波数で感度が悪いのと プツプツ音が混じります。
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外観
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製造シリアル番号は [201350] で、電源コードの製造マーキングより [1989年製造品] とわかりました。
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汚れはありますが概ね綺麗です。
サイドウッドがありません。
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リアパネルは非常に綺麗ですが、タバコのヤニのような黄色の汚れが気になります。
端子類には問題なさそうです。
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試しにフロントパネル上部折り返し部を中性クリーナで拭き取るとウェスがまっ黄色になります。
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純正の AM ループアンテナの添付がありました。
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電源 ON にてチェック
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電源は問題なく入り、各ボタンやノブの操作はそれなりにできます。
ディスプレイの輝度は新品同様です。
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FM 受信
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良好に動作します。
周波数ズレはありません。
[STEREO] 表示が出てステレオ感もあります。
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修理依頼者の言う [82.5MHz (NHK) だけがプツプツ音が混じる] は確認できません。
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おそらく、修理依頼者宅での電波の質の問題と思います。
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AM 受信
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問題なく受信でき、S メータも振れ、音も出ます。
感度も良好です。
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修理依頼者の言う [高い周波数で感度が悪くプツプツ音が混じる] は確認できません。
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おそらく、修理依頼者宅での電波の質の問題と思います。
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カバーを開けてチェック
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カバーを外す時に気が付いたのですが、カバーを側面から留めるネジがタップネジに換装されています。
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元はミリネジです。
タップネジに換装して穴径が広がってしまっているので、もう元のミリには戻せません。
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動作には何ら問題ないので、このまま使うしかないです。
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内部はかなり綺麗です。
おそらく最近清掃したと思います。
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電源コネクタにリアパネルで見られた黄色い汚れがあります。
ここまで清掃しきれなかったのでしょう。
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目視で判る劣化部品はありませんでした。
リペア
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FM フロントエンドの [RF トリマコンデンサ] 交換 ・・・ 予防保守
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ST-S333ES シリーズに使われている [RF トリマコンデンサ] の故障が散見されます。
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ハトメ部分が接触不良になって容量抜けするのです。
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こうなると FM の感度が低下します。
少しずつ徐々に不良になっていくので気付くのが遅れます。
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予防保守として [RF トリマコンデンサ] ×3個を交換しました。
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下の写真は FM フロントエンドで、黄〇で囲んだのが [RF トリマコンデンサ] です。

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[RF トリマコンデンサ] 交換後です。
10pF セラミックトリマコンデンサを使いました。

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電気二重層コンデンサの交換 ・・・ 予防保守
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電気二重層コンデンサはプリセットメモリをバックアップしています
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電源 OFF 時のメモリ記憶をバックアップしているので、故障するとプリセット情報が消えます。
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電気二重層コンデンサの故障または経年劣化は割と多いです。
製造後30年以上経っているので交換が吉です。
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電気二重層コンデンサを交換しました。
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[C605] 0.1F/5.5V → 1F/5.5V へ交換しました。
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0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
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[タンタルコンデンサ] の交換 ・・・ 予防保守
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[C603] はタンタルコンデンサで 10uF/6.3V です。
これもいつまで持つか心配な部品です。
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しかも耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
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タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
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耐圧を超えていなくてもある日突然、内部短絡する事故が多いです。
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[C603] が内部短絡するとマイクロコンピュータが停止して全く操作できなくなります。
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半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
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心配なので、[10uF/6.3V タンタル]→[10uF/25V 積層セラミック] に予防交換しました。
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タンタルコンデンサより ESR が低く高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
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[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] 交換の記録写真
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左の写真は交換前です。
小さい黄〇が [タンタルコンデンサ]、大きい黄〇が [電気二重層コンデンサ] です。
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右の写真は交換後です。
[積層セラミックコンデンサ] [縦型電気二重層コンデンサ] に変わりました。

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ハンダクラック対策 ・・・ 予防保守
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ST-S333ES シリーズでは定番のハンダクラックしやすい箇所があります。
持病みたいなものです。
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ハンダクラックすると意味不明の不具合が出ます。
叩くと音が途切れたりと。
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目視でチェックしてみると、やはり数箇所のハンダクラックがありました。
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[RCA 端子] [F 端子×2] [AM アンテナ端子] [アースバー×8] を補修ハンダ付けしました。
補修箇所は多いです。
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【参考】交換前に基板に実装されていた部品の写真
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左から [トリマコンデンサ×3個] [電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] です。

再調整
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電源電圧チェック (VP)
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特に問題なく良好です。
| VP |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+30.9V |
+30.3V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+16.3V |
+14.9V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.5V |
-17.8V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.6V |
+13.4V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5V |
+5.6V |
+5.71V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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フロントエンドのトラッキング調整が大きくズレていました。
再調整で感度が上がりました。
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この他にも各部で調整ズレがありましたが、全て基準値内に収まりました。
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再調整後は特に問題はなく、極めて良好な数値です。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
59 |
62 |
dB |
| NARROW |
53 |
53 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.018 |
% |
| stereo |
0.031 |
% |
| NARROW |
mono |
0.26 |
% |
| stereo |
0.26 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-72 |
-73 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
445.3 |
Hz |
| -6.1 |
dB |
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AM 受信部
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添付された [純正 AM ループアンテナ] で最高感度になるよう調整しました。
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フロントエンドのトラッキング調整がややズレていました。
再調整で感度が上がりました。
使ってみました
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全体的にブラック基調のデザイン
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SONY デザインはやはり格好イイです。
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デザインが良くて性能も良い、持つべき価値があります。
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フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
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解像度がある素晴らしい音。
現代の安物チューナーとは全く異次元の音です。
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AM 受信
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感度は良いです。
ループアンテナでしっかり入感します。