SONY ST-S333ESG (14号機) が到着
2024年2月29日、金沢市の K さんより
SONY ST-S333ESG
の修理依頼品が届きました。
程度&動作チェック
-
依頼者のコメント
-
FM のシグナルインジケーターがとても低い。
一番高い局でメーター5本、他の局は2~4本。
-
2本の局では RF MODE が DIRECT だと受信できない。
-
MUTE OFF にしないと音が出ない。
ステレオにならない。
-
外観
-
製造シリアル番号は [210074] で、電源コードの製造マーキングより [1991年製造品] とわかりました。
-
[純正 AM ループアンテナ] が添付されていました。
-
汚れはありますが、そこそこ綺麗で特に指摘する箇所はありません。
-
電源 ON にてチェック
-
電源は問題なく入り、ディスプレイの輝度は新品同様に明るく、各ボタンやノブの操作は正常です。
-
FM 受信
-
S メータの振れが少なく感度落ちしています。
受信できるのですが、[STEREO] 表示が出ません。
-
オートチューニングで放送局を見つけられず、周波数更新を永遠に繰り返すだけです。
-
AM 受信
-
添付された [純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
-
問題なく受信でき、S メータも振れ、音も出ます。
感度も良好です。
-
カバーを開けてチェック
-
基板は綺麗で、目視で劣化とわかる部品は見られません。
ややタバコのヤニ臭い匂いがします。
-
FM フロントエンドのトリマコンデンサを放送波で回してチェックしてみましたが大丈夫でした。
リペア (その1):FM で [感度落ち] [ステレオにならない] [オートチュニングできない] 不具合
-
原因
-
修理
-
同調点調整の [IFT251] を放送波で仮調整して直りました。
正式調整は [再調整] 項で実施します。
-
右の写真で赤〇で囲んだのが [IFT251] です。
-
[STEREO] 表示が出て、オートチューニングできるようになり、S メータも大きく振れるようになりました。
リペア (その2):[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] の交換
-
概要
-
[電気二重層コンデンサ] は電源 OFF 時のプリセット情報をバックアップします。
-
[タンタルコンデンサ] は短絡事故が多く、別の種類のコンデンサに交換すると幸せになります。
-
使われていたタンタルコンデンサの耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
-
タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
-
半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
-
換装する積層セラミックコンデンサはタンタルより ESR が低く高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
-
交換
-
左の写真で、小さな赤〇で囲んだのが [C604]、大きな赤〇で囲んだのが [C605] の交換後です。
-
右の写真は交換前に基板に実装されていた [C605] [C604] です。

-
以下は交換リストです。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C604 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
|
| C605 |
0.1F/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
-
電気二重層コンデンサは 0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
リペア (その3):ハンダクラック予防補修
-
解説
-
写真はリアパネルにある端子の裏側です。
端子のリードが基板に直接ハンダ付けされています。
-
このハンダ付け部分には [リアパネル] [基板] の2方向から常にストレスを受けるのでハンダクラックしやすいのです。

-
基板に銅板が走っていますが、これはアースバーです。
このアースバーのハンダ付け部分もハンダクラックしやすいです。
-
補修
-
[FM ANTENNA (A/B)] [AM ANTENNA] [OUTPUT] 端子のリードのハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
-
8本あるアースバーのハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
-
補修ハンダ付けは、古いハンダを吸引して除去し、新しいハンダを付けるのが正しいやり方です。
再調整
-
電源電圧チェック (VP)
-
実測値は以下のように良好です。
| VP |
表示電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+30.1V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+14.9V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.3V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.4V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5V |
+5.63V |
〇 |
DIGITAL |
-
FM/AM 受信部の調整
-
調整結果
-
FM 受信部
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
64 |
70 |
dB |
| NARROW |
37 |
37 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.012 |
% |
| stereo |
0.015 |
% |
| NARROW |
mono |
0.057 |
% |
| stereo |
0.057 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-76 |
-78 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
419.9 |
Hz |
| -5.4 |
dB |
-
AM 受信部
-
[純正 AM ループアンテナ] で最高感度になるように調整しました。
使ってみました
-
修理&再調整が終わって
-
到着時はいろいろな不具合がありましたが全て修理でき、新品時の性能に蘇ってよかったです。
-
全体的にブラック基調のデザイン
-
SONY デザインはやはり格好イイです。
-
デザインが良くて性能も良い、持つべき価値があります。
-
フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
-
FM 受信
-
感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
-
解像度がある素晴らしい音。
現代の安物チューナーとは全く異次元の音です。
-
AM 受信
-
感度は良いです。
ループアンテナでしっかり入感します。