SONY ST-S333ESJ (6号機) が到着
2023年12月7日、新潟県上越市の U さんより
SONY ST-S333ESJ
の修理依頼品が到着しました。
具体的には「良好に使えているが、気になる箇所があれば修理してほしい」という依頼です。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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SONY ST-S333ESJ AM ループアンテナ付です。
調整品を購入して4年程使用しています。
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AM ループアンテナは付属品ではなく別に購入したもので、これでベストな調整を希望します。
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現状、状態の程度はわかりませんが正常に作動しています。
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CATV 環境、入力60~70dB 程度でブースターをかませてシグナルがフル表示です。
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周波数ズレはありません。
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可能であれば、現状の状態と調整後の状態を知りたい。
(ステレオセパレーションなど)
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調整と気になる個所があれば修理・交換をお願い致します。
(純正部品を交換している可能性があるかも知れません。)
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外観
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製造シリアル番号は [251313] で、電源コードの製造マーキングより [1994年製造品] とわかりました。
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AM ループアンテナが添付されていました。
別途購入されたとのことですが、たぶん [純正 AM ループアンテナ] と思います。
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ほぼキズやスレは見当たらず、綺麗な逸品です。
リアパネルの端子類は新品同様にピカピカしています。
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底の部分にある点検蓋のネジが1本欠品していました。
付け忘れかネジ紛失かな。
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電源 ON してチェック
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問題なく電源が入り、FL の輝度は新品同様、各ボタン操作も正常です。
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FM 受信
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S メータは 68dB でフルになり、問題ありません。
標準値は 70dB でフルですから、誤差範囲です。
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出てくる音は綺麗で、[STEREO] 表示もでます。
問題ないです。
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修理依頼者から [調整前の性能値も知りたい] と希望があったので、到着時のまま代表性能を測定してみました。
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これくらいの数値が出ると使用には全く問題ないです。
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[ステレオセパレーション] がやや低いです。
この機種は 60dB くらい出るものが多いので、それと比べると低いと言うこと。
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[パイロット信号キャリアリーク] は -60dB 以下が調整目標値です。
ほんの少し悪化しているかな。
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[高調波歪率] は良好です。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
39 |
40 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.020 |
% |
| stereo |
0.029 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-56 |
-60 |
dB |
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AM 受信
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添付された [AM ループアンテナ] を接続してチェックし、問題なく良好に受信できました。
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感度は良く、ニッポン放送 (1242kHz) では [STEREO] 表示も出ます。
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カバーを開けてチェック
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非常に綺麗です。
目視では部品は問題ないように思います。
ただし、以下のように、あちこち修理跡があります。
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FM フロントエンド部の [CT101] [CT102] [CT103] トリマコンデンサが既に交換されていました。
ここはこのままとします。
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PLL 検波部の [CT271] トリマコンデンサが既に交換されていました。
ここはこのままとします。
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メモリバックアップ用 [C605] 電気二重層コンデンサが 0.22F/5.5V に交換されていました。
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短絡故障が心配な [C604] タンタルコンデンサは交換されていないので、これは積層セラミックコンデンサに交換します。
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基板の裏側で [C415] 4.7uF/50V 電解コンデンサと並列に [10uF/16V] 電解コンデンサが取り付けられていました。
(下の左の写真)
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AM 受信部の AGC 定数を変えたようです。
おそらく、AM STEREO 時の安定度を改善したかったのだと思います。
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特に問題はないので、ここはこのままとします。

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FM 同調点検出用の [IFT251] の裏側で 100pF セラミックコンデンサが外付けされています。
(上の右の写真)
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おそらく、同調点ズレで正常受信不可の不具合があり、それを修理したのだと思います。
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[IFT251] にも一旦取り外した形跡があるので、内蔵の故障したチタコンを取り外し、代わりに 100pF を外付けしたと思います。
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処置としては正しいので、ここはこのままとします。
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RCA 端子の GND 端子が電線で補強されていました。
(下の左の写真)

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リアパネルにある端子類にはハンダクラック対策されていました。
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対象は [FM アンテナ A] [FM アンテナ B] [AM アンテナ] [オーディオ出力 (RCA)] です。
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対策とは補修ハンダ付けです。
キチンと処理済みですので、ここはこのままとします。
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基板のアースバーはハンダクラック対策されていませんでした。
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アースバーとは、基板の上を走っている全部で8本の長細い銅板です。
(上の右の写真)
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筆者はアースバーと呼んでいますが、実際には電源ラインも通っています。
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基板と銅の熱膨張率は違うので、長い間にハンダクラックしやすいです。
ここは追加対策します。
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メイン基板からディスプレイ基板への [ブリッジ基板] に手直しがありました。
(右の写真)
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どうやら、前回の修理時に [ブリッジ基板] を外そうとして無理な力を加え、基板の端を割ってしまったようです。
基板に少し亀裂が入っているのを確認できました。
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基板が割れて端の部分のパターンが剥がれ、それを修理したようです。
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ちなみに、固くて抜けないコネクタは
CRC5-56
潤滑剤を吹き付けて30分待ってから抜くとスッと抜けます。
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処置は正しく問題はないので、ここはこのままとします。
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いろいろ手直し (修理) が入っていましたが処置は概ね正しいです。
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前に修理されたかたは、かなりの技術スキルがあると思います。
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ただ、ST-S333ESJ の取り扱いには慣れていなかったのでしょう。
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ですから、方針としては不足または予防手直しだけを実施することにします。
リペア
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[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] の予防交換
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左の写真の小さな赤〇で囲んだ [C603] 10uF/6.3V タンタル → 10uF/25V 積層セラミックコンデンサに交換しました。
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左の写真の大きな赤〇で囲んだ [C605] を 1F/5.5V 電気二重層コンデンサに交換しました。
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右の写真は [C603] [C605] 交換後です。

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電気二重層コンデンサはデフォールトの 0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
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タンタルコンデンサは短絡事故が多いです。
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使われていたタンタルコンデンサの耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
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タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
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半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
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換装した積層セラミックコンデンサはタンタルより高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
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底の部分にある点検蓋のネジが1本欠品している
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右の写真で赤〇で囲ったネジです。
この写真はネジ補充後です。
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手持ちのネジで取り付けました。
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ハンダクラック予防対策
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リアパネルの端子類は既に補修ハンダ付けして対策済みであったため、アースバーだけ対策しました。
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全てのアースバー~基板の部分に補修ハンダ付けしました。
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[ステレオセパレーション] [パイロット信号キャリアリーク] が少し悪化している
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP (ジャンパー) |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 (用途) |
| JW88 |
+30V |
+30.9V |
+30.1V |
〇 |
PLL (同調) |
| JW89 |
+15V |
+16.3V |
+15.0V |
〇 |
AUDIO SYSTEM |
| JW145 |
-17V |
-17.5V |
-17.4V |
〇 |
FL 管 |
| JW213 |
+13V |
+13.6V |
+13.1V |
〇 |
DIGITAL SYSTEM |
| JW220 |
+5V |
+5.6V |
+5.58V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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スレレオセパレーションがやや低下していましたが、再調整で上がり、音の解像度が良い素晴らしい音になりました。
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再調整後は下のような素晴らしい性能に蘇りました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
60 |
66 |
dB |
| NARROW |
42 |
40 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.019 |
% |
| stereo |
0.023 |
% |
| NARROW |
mono |
0.14 |
% |
| stereo |
0.54 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-69 |
-71 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
+0.25 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
441.4 |
Hz |
| -6.5 |
dB |
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AM 受信
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到着時から問題はなく良好でしたが、一通りの調整を実施しました。
使ってみました
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全体的に黒基調のデザイン
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SONY デザインそのものです。
恰好イイです。
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フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
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解像度がある素晴らしい音。
現代の安物チューナーとは全く異次元の音です。
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AM 受信
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感度は良いです。
ループアンテナでしっかり入感します。