SONY ST-S333ESXⅡ (9号機) が到着
2024年3月8日、埼玉県加須市の I さんより
SONY ST-S333ESXⅡ
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者からのコメント
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最近感度にむらがあり、感度が上がったり下がったりします。
受信しますが、メータが振れません。
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アンテナを交換しましたが現象が変わらないので、チューナの不具合かなと思います。
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受信中に「しゅるしゅる」というノイズが入ります。
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AM の受信感度が極端に悪いです。
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外観
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製造シリアル番号は [208065] で、電源コードの製造マーキングより [1988年製造品] とわかりました。
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サイドウッドは付いていません。
[純正 AM ループアンテナ] は添付されていませんでした。
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全体的に汚れ・キズ・スレ・ヘコミなどがありますが、正面から見たフロントパネルは綺麗です。
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リアパネルの状態は良好です。
端子類にクスミはありますが、使用には問題なさそうです。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様で、操作ボタンの動作も正常で問題ありません。
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FM 受信
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当方のアンテナレベル 84dBf の環境では、S メータが振れ、[STEREO] 表示が出て、問題なく音が出ます。
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ただし、やはり感度は下がっている感じです。
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修理依頼者の言う [感度が上がったり下がったりする] [「しゅるしゅる」というノイズが入る] は確認できませんでした。
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いずれも修理依頼者宅のアンテナ環境が疑わしいです。
特に後者はマルチパス妨害の現象と思われます。
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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受信は良好で感度も良いです。
特に問題ないです。
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修理依頼者がいう [AM の受信感度が極端に悪い] は確認できませんでした。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗で、目視で劣化とわかる部品は見当たりません。
リペア (その1):FM の感度が下がっている
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原因
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FM フロントエンドのトリマコンデンサ [CT101] [CT102] [CT103] の3個とも劣化故障したためです。
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回してみると、容量が連続的に変化せず、叩くと容量が変わります。
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修理
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左の写真はトリマコンデンサ交換後で、赤〇で囲んだ部品です。
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右の写真は、交換前に基板に実装されていた故障したトリマコンデンサです。

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トリマコンデンサ交換後に再調整して感度は倍になりました。
リペア (その2):[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] 交換
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概要
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メモリをバックアップする電気二重層コンデンサは製造後36年経っているので、そろそろ寿命です。
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タンタルコンデンサは短絡事故をおこしやすいので、別の種類のコンデンサに置き換えたほうが良いです。
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交換リスト
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下の表のように交換します。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C604 |
10uF/6.3V (タンタルコンデンサ) |
10uF/25V (積層セラミックコンデンサ) |
タンタルよりセラミックのほうが ESR が低く優秀 |
| C605 |
39mF/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
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交換
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左の写真は部品交換後で、小さい赤〇で囲んだのが [C604]、大きい赤〇で囲んだのが [C605] です。
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右の写真は、交換前に基板に実装されていた部品です。
電気二重層コンデンサは容量が増えたのに、逆に劇的に小さくなりました。
技術の進化です。

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[C605] は [POWER] スイッチ OFF の時にプリセットメモリをバックアップします。
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取扱説明書
の10ページにバックアップ時間は (39mF の時で) 1ヶ月と書かれています。
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39mF → 1F と26倍の容量になったので計算上は26ヶ月になるはずです。
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でも自己放電もあるので、実際には数ヶ月と思います。
リペア (その3):ハンダクラック予防補修
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ハンダクラックが発生しやすい箇所
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ST-S333ESXⅡではアースバーのハンダ付け部分でハンダクラックが発生しやすいです。
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ST-S333ESG 以降の機種と違って、リアパネルの端子類はワイヤ接続になっているので、ここではハンダクラックしません。
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予防補修
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アースバーのハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
これで安心して使えます。
再調整
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電圧チェック (VP)
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電圧の実測値は以下のように正常でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
備考 |
| JP4 |
+16V |
+15.1V |
チューナ用 |
| JP5 |
+13V |
+13.1V |
FL 管用 |
| JP6 |
+5.6V |
+5.58V |
デジタル用 (MCU) |
| JP7 |
+30V |
+31.1V |
VT 電圧用 |
| R909(R) |
-10V |
-9.92V |
コントロール用 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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故障していたトリマコンデンサを交換したので、感度が上がりました。
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同調点はギリギリ動作する 0.5V に近い 0.4V にズレていました。
再調整で規定内の 0V に調整できました。
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ステレオセパレーションなどは以下のように素晴らしい数値になりました。
一級クラスの性能です。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
63 |
64 |
dB |
| NARROW |
37 |
38 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.011 |
% |
| stereo |
0.011 |
% |
| NARROW |
mono |
0.20 |
% |
| stereo |
0.20 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-72 |
-75 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE |
WIDE |
mono |
301.5 |
Hz |
| -5.3 |
dB |
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AM 受信
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当方で標準にしている [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を接続して調整しました。
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元々問題ない感度が更に向上しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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修理依頼者の言う不具合はほとんど確認できず、修理依頼者宅のアンテナ環境に問題がありそうです。
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やはり ST-S333ESXⅡは優秀機です。
性能も音も良いです。
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デザイン
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精悍なデザインで使いやすいです。
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後継機の
ST-S333ESG
よりシンプルなデザインですが、むしろこちらのほうが使いやすいです。
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(C リングパネルがないので) 直接的な快適ボタン操作ができます。
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感度と音質
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FM の感度は抜群に良く、S/N が良いです。
細かい音がよく聴けます。
FM 放送らしい柔らかめの音質です。
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AM の感度も抜群に良く、S/N も良いです。
AM としては音質も良く、放送を楽しめます。