SONY ST-SA5ES (10号機) が到着!
2024年4月18日、大阪府八尾市の I さんより
SONY ST-SA5ES
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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受信レベルが低くなり、PURE CIRCUIT インジケータも点灯するのに時間が必要です。
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AM は [SONY Wave Catcher] バーアンテナで性能が出るよう調整お願いします。
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[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] の交換をお願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [201079] で、電源コードの製造マーキングより [1995年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] の添付はなく、代わりに [SONY Wave Catcher] バーアンテナが添付されていました。
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左サイドパネルに少し気になる線キズなどがあります。
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汚れはありますが綺麗な状態で、特に指摘するような問題はありません。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様です。
ボタン操作に問題はなく良好です。
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FM 受信
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-0.1MHz の周波数ズレがあります。
80MHz の放送が 79.9MHz で受信できます。
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-0.1MHz ズレとところで受信はできて [STEREO] 表示が出て問題なく受信できます。
しかし、S メータの振れが少ないです。
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AM 受信
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手持ちの [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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ちゃんと受信して感度も良いです。
特に問題なさそうです。
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カバーを開けてチェック
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内部の基板は非常に綺麗です。
目視で劣化とわかる部品は見当たりません。
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FM 放送波で同調点を仮調整したら、ちゃんと S カーブが出て同調ズレは直りました。
ここは本格調整すれば直りそうです。
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FM 放送波でフロントエンドの3個あるトリマコンデンサを回してみたら、ちゃんと反応して感度が上がりました。
ここは本格調整すれば直りそうです。
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以上より、本機は再調整だけで直りそうです。
リペア (その1):FM で -0.1MHz 周波数ズレしている
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原因
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修理
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[IFT251] を再調整して直りました。
オートチューニングしても正しい放送周波数で停止するようになりました。
リペア (その2):FM で感度落ちしている
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原因
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経年変化による FM フロントエンドのトラッキング調整ズレです。
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修理
リペア (その3):[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] 予防交換 ・・・ 修理依頼者の要求
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概要
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[電気二重層コンデンサ] を交換しますが、ついでに [タンタルコンデンサ] も予防交換します。
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[タンタルコンデンサ] は短絡事故が多く、別の種類のコンデンサに交換すると幸せになります。
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使われていたタンタルコンデンサの耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
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タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
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半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
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換装する積層セラミックコンデンサはタンタルより ESR が低く高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
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修理 (予防交換)
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交換リスト
部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
C437 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
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C604 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
|
C605 |
0.1F/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
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左の写真は交換後です。
大きな黄〇が [C605]、その下が [C604] です。
残る1つは [C437] です。
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右の写真は交換前に基板に実装されていた [C605] [C604] [C437] です。

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電気二重層コンデンサは 0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
リペア (その4):ハンダクラックの観察と補修
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ハンダクラックの観察
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RCA 端子がハンダクラック気味になっていました。
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リアパネルにある端子のリードは基板に直接ハンダ付けされています。
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このハンダ付け部分には [リアパネル] [基板] の2方向から常にストレスを受けるのでハンダクラックしやすいです。
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基板に細長い銅板が走っていますが、これがアースバーです。
アースバーにはハンダクラックが見られませんでした。
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修理 (ハンダクラック補修)
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[FM ANTENNA (A/B)] [AM ANTENNA] [OUTPUT] 端子のリードのハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
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下の写真はこれらの端子のリードを裏側から眺めたものですが、長~いリードで、いかにもハンダクラックに弱そうです。

再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように正常でした。
VP |
表示電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
JW88 |
+30V |
+30.7V |
〇 |
PLL |
JW89 |
+15V |
+15.0V |
〇 |
AUDIO |
JW145 |
-17V |
-17.5V |
〇 |
FL |
JW213 |
+13V |
+13.2V |
〇 |
DIGITAL |
JW220 |
+5V |
+5.64V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信部
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[同調点調整] [フロントエンドのトラッキング調整] が大きくズレていました。
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[PLL 検波] で大きめの調整ズレがありました。
再調整で全て規定内に入りました。
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ステレオセパレーションは大きく改善し、素晴らしい音になりました。
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WIDE 時の高調波歪率はこの機種にしては少し大きいですが、問題はないです。
項目 |
IF BAND |
stero/mono |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
61 |
68 |
dB |
NARROW |
46 |
46 |
dB |
高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.16 |
% |
stereo |
0.17 |
% |
NARROW |
mono |
0.19 |
% |
stereo |
0.19 |
% |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-74 |
-70 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
CAL TONE |
WIDE |
mono |
398.4 |
Hz |
-5.5 |
dB |
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AM 受信部
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[SONY Wave Catcher] バーアンテナで性能が出るよう調整してみましたが ・・・
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ST-SA5ES には合わないようで純正アンテナの 1/3 くらいの感度にしかなりません。
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どうしようもないので、手持ちの [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] で最高性能になるよう調整しました。
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AM の場合はループアンテナも同調回路の一部なので、純正アンテナ以外で使うと感度が落ちます。
使ってみました
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再調整が終わって
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経年変化による調整ズレはありましたが、状態の良い ST-SA5ES でした。
全て直って性能が蘇ってよかったです。
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AM は [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を入手されることをお奨めします。
越谷周辺のハードオフではよく目にします。
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AM ループアンテナは自作も可能です。
長~い電線をリング状に巻くだけですから。
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巻く回数でインダクタンスを変更でき、最適のループアンテナにできます。
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なお、わざわざ FM より雑音や音質的に劣る AM 放送を聴く必要ってあるのかな?と当方は思います。
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在京の AM 民放は2028年で終わり、FM に完全移行します。
これは全国的にも同じと思うのですが・・・
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頑張って AM 放送を受信するより、AM のサイマル放送であるワイド FM を受信したほうが正解です。
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ワイド FM 対応クリコン
でワイド FM 受信ができます。
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ST-SA5ES はアンテナ端子が2つあるので、ワイド FM 受信に便利です。
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手持ちの [RM-J301] 専用リモコンでの操作も良好でした。
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デザイン
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素晴らしい精悍なデザインで高級感あります。
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サイドウッドの代わりにアルミ製のサイドパネルがあって、これがイイです。
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(C リングパネルがないので) 直接的で軽快なボタン操作ができます。
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感度と音質
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FM の感度は抜群に良く、S/N が良いです。
細かい音がよく聴けます。
艶っぽい音がします。
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AM の感度も抜群に良く、S/N も良いです。
AM としては音質も良く、放送を楽しめます。