SONY ST-SA5ES (2号機) をゲット!
2009年4月8日、私のチューナーページのファンから
SONY ST-SA5ES
故障品を研究用にいただきました
写真は修理後のものです。(STEREO ランプが正常に点灯)
程度&動作チェック
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寄贈者のコメント
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正常に使っていましたが、突然ステレオ受信できなくなりました。
SONY ではもう修理してくれないので、ゴミとして捨てるより研究用にどうぞ。
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外観
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電源ケーブルの製造マーキングより [1997年製造品] とわかりました。
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フロントパネルは汚れてはいますが、割と綺麗で、キズも僅かでよく見ないと気が付かない程度です。
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リアパネル, 天板側板, 底板はいずれも綺麗で問題ありません。
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AM ループアンテナ接続端子は少し錆が出ています。
FM の F 端子は金メッキされているので、錆はないですが汚れはあります。
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リアパネル、天板、側板の取り付けネジだけが錆が出ているのです。
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一緒に添付されていたのは [AM ループアンテナ] [FM 簡易アンテナ] です。
[リモコン] は欠品でした。
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[AM ループアンテナ] は SONY のマーキングがありますが、純正品ではありません。
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[FM 簡易アンテナ] も純正品ではありません。
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電源 ON してチェック
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電源は入り、FL パネルの輝度は新品同様で操作もできます。
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RCA 端子を揺すると音が途切れます。
ハンダクラックしています。
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FM 受信
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周波数ズレはなく、ちゃんと受信します。
感度低下もないようで、微弱電波も S/N 高く受信できます。
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ただし、[STEREO] 表示が出ません。
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AM の動作状況
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手持ちの AM ループアンテナ受信できましたが、感度低下しているようです。
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強い電波の放送局ではちゃんとステレオになります。
ST-SA5ES は AM stereo 対応
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カバーを開けてチェック
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内部は少しゴミはありますが、問題なく綺麗です。
写真をクリックすると拡大写真を表示できます。
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いじられた形跡はなさそうです。
リペア (その1):FM で [STEREO] 表示が出ない
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調査と原因
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[FM フロントエンド] ~ [IF 増幅] ~ [PLL 検波回路] には全く異常はなく、良好動作しています。
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もちろん [同調点検出回路] も問題ありません。
こうなると [MPX 回路] が故障していることになります。
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MPX 回路は右です。
ST-S333ESA の回路図
ですが、ST-SA5ES も同じです。
右の回路図をクリックすると拡大表示できます。
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MPX IC の CXA1064 の 7pin 辺りに手を触れると [STEREO] ランプが点灯することがあります。
間違いなく MPX 回路の故障です。
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CXA1064 の 2pin は VCO で、456kHz (19kHz × 24) で発振しているはずです。
オシロスコープで眺めると、全く発振していません。
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原因は [CXA1064] [電解コンデンサの容量抜け] [セラロック (セラミック発振子)] のどれかの故障です。
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修理
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ST-SA5ES には点検用裏板がないので、部品交換は一苦労です。
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1個ずつ確認しながら交換すると膨大な時間がかかります。
関係する部品を一斉交換することにします。
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[C301] [C302] [C304] [C305] [IC301 CXA1064] [CF301 456kHz] を交換しました。
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右の写真は交換前に基板に実装されていた部品です。
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修理後の動作確認
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[STEREO] 表示が出るようになり、ステレオ感のある音が出ます。
直りました!!!
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おそらく、本当に故障していたのはセラロックだと思います。
リペア (その2):その他
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RCA 端子を揺すると音が途切れる
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RCA 端子のハンダ付け部分がハンダクラックしていました。
この部分を補修ハンダ付けして直りました。
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天板と側板を留めるネジがサビている
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ネジを全て交換しました。
交換後はネジがピカッと光って気持ちイイです。
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右の写真の上が純正ネジ、下が交換に使ったネジです。
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全体の清掃
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全体のゴミをエアブロアと刷毛を使って取り除きました。
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OA クリーナにてクリーニングしました。
黄色の汚れが目立ちました。
おそらくタバコのヤニでしょう。
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くすんだ黄色だったのですが、新品時に近いゴールドの質感が蘇りました。
再調整
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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感度や音質がグ~ンと上がり、ST-SA5ES 本来の艶っぽい音が蘇りました。
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再調整結果は以下で、素晴らしい特性です。
| 項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション |
WIDE |
70 |
70 |
dB |
| ステレオセパレーション |
NARROW |
49 |
48 |
dB |
| パイロット信号キャリアリーク |
- |
-71 |
-72 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
- |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
- |
445.3Hz
-5.9 |
445.3Hz
-5.9 |
dB |
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AM 受信部
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ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナを接続して調整しました。
感度が低い原因は RF 部の調整ズレでした。
使ってみました
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デザイン
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全体的にゴールド基調の色合いでなかなか優れたデザインで好みです。
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フロントパネルはアルミ材で、チューニングノブまでの高さまでヘアライン仕上げ、これより上はサンド仕上げと、凝った仕上げです。
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サイドパネルもヘアライン仕上げアルミ材です。
この感じもなかなか高級感あります。
サイドウッドと違って精密なメカという感じがします。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
特に微弱電波もしっかり捉えて S/N が良いのに驚きます。
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解像度があって華やかな素晴らしい音です。
現代の安物チューナーとは全く異次元の音です。
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ST-S333ESG → ST-S333ESA → ST-S333ESJ → ST-SA5ES の順でマイナーチェンジしましたが、FM の回路は全く同じで基板の部品配置まで同じです。
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不思議なことに、音質はこの順に華やかになっていくのです。
ST-S333ESG の少しおとなしい音が、ST-SA5ES ではキラキラした華やかな艶っぽい音です。
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回路は全く同じなので、何が違うのだろう? ・・・ 推定ですが、使用している電解コンデンサの違いが音質に影響を与えているような気がしてならないです。
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AM 受信
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感度は良いです。
純正のループアンテナでしっかり入感します。
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AM stereo は良い音です。
IF Band を Wide / Narrow に切換でき、Wide では高音がよく出て、フゥワァ~とした音の出かたです。
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総評
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感度が良く、とても良いチューナです。
オーディオ全盛期黄昏の高級チューナです。