SONY ST-SA5ES (7号機) が到着!
2024年2月16日、熊本市の E さんより
SONY ST-SA5ES
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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90年代から2000年代の初めまでメイン機で使用していたのですが、メイン機の入替えに伴い、その後、たまにしか使用しておりませんでした。
思い入れのあるチューナで、久しぶりに接続したところ、以下の不調が発生しています。
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県内向け FM 局で受信可能なのは3局です。
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送信所は、3局とも拙宅から西に位置する金峰山の山頂にあり、距離は直線距離で8~9㎞あるため送信搭が目視できます。
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ただし、アンテナの向きは遠距離受信のため北北西に向けてあります。
(八木式5素子アンテナを2階の屋根上に設置)
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ST-SA5ES の設定は全て「STEREO」「IF BAND WIDE」「RF MODE NOMAL」で以下の状況です。
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FM 熊本 77.4MHz 出力1kw Sメータ フル点灯
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熊本シティエフエム 79.1MHz 出力20W Sメータ 6割点灯
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NHK-FM 熊本 85.4MHz 出力1kw Sメータ 4割点灯
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NHK-FM 熊本のみ、Sメータが振れず、ノイズ混じりで上手く受信できません。
「STEREO」の表記も時々点滅しております。
ちなみに IF BAND を NARROW にしても結果は全く改善しません。
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同じ 1kw の FM 熊本は受信できておりますし、出力 20W のコミュニティ FM の熊本シティ FM でさえ6割程度振れており、一応ノイズなしで STEREO 受信できております。
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念のため、他の FM チューナ(T-12、KT-2020)でも確認しましたが、NHK-FM 受信時、Sメーターはフルスケール振れて、きちんと受信できています。
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県外局では、以前、受信できていた 80.3MHz (FM 長崎・佐世保局) がノイズ混じりで、実用にならないので、全体的に感度が低下しているのかもしれないと感じております。
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外観
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製造シリアル番号は [200893] で、電源コードの製造マーキングより [1995年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] の添付はありませんでした。
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非常に綺麗な逸品で、特に指摘するような問題はありません。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様です。
ボタン操作に問題はなく良好です。
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FM 受信
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当方の環境では S メータはフルまで振れ、[STEREO] 表示も出て、どの周波数でも良好に受信できました。
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修理依頼者のいう「受信周波数による感度不足」は確認できませんでした。
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当方の環境はアンテナレベルが 85dBf はある強電界なので現象が出ないのかもしれません。
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このまま、再調整してみたら何かわかるかもしれません。
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AM 受信
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手持ちの [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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ちゃんと受信して感度も良いです。
ニッポン放送 (1242kHz) では AM STEREO で受信できます。
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特に問題なさそうです。
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カバーを開けてチェック
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内部の基板は非常に綺麗です。
目視で劣化とわかる部品は見当たりません。
再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように正常でした。
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修理依頼者のコメントより「受信周波数が上がるほど感度が悪くなる」というようにみえたので、同調周波数を決める VT 電圧のソースである [J88 +30V] のリップルをオシロスコープで観測しましたが、リップルは乗っていませんでした。
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この他の電圧にもリップルは乗っていませんでした。
電源は全て良好です。
| VP |
表示電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+31.0V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+14.8V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.8V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.1V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5V |
+5.66V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信部
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全体的に調整ズレはほとんどなく、唯一、調整でステレオセパレーションが 26dB (20倍) 改善しました。
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ステレオセパレーションや高調波歪率などは以下のように素晴らしく良好になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stero/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
64 |
70 |
dB |
| NARROW |
42 |
41 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.015 |
% |
| stereo |
0.019 |
% |
| NARROW |
mono |
0.11 |
% |
| stereo |
0.11 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-74 |
-73 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
+0.01 |
dB |
| CAL TONE |
WIDE |
mono |
441.4 |
Hz |
| -5.6 |
dB |
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AM 受信部
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AM は手持ちの [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] で最高性能になるよう調整しました。
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AM の場合はループアンテナも同調回路の一部なので、純正アンテナ以外で使うと感度が落ちます。
使ってみました
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再調整が終わって
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修理依頼者のいう「受信周波数による感度不足」はなく、どの周波数でも良好な感度でした。
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一般のチューナでは 50dB (61dBf) 程度で S メータがフルになりますが、ST-SA5ES はもっと厳密で 70dB (81dBf) ないとフルになりません。
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本機に問題がないので、修理依頼者宅のアンテナ系に問題あると思います。
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修理依頼者宅では受信周波数が高くなるほどアンテナレベルが下がっているようにみえます。
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なぜ、こうなるかはわかりません。
アンテナや同軸ケーブル、配線、接続点を調べる必要がありそうです。
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ちなみに S メータが [フル=70dB (81dBf)] [60%=53dB (64dBf)] [40%=37dB (48dBf)] です。
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従って、ステレオ受信は 60% でギリギリ、40% は厳しいです。
ですから [NHK-FM 熊本] がうまく受信できないのでしょう。
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デザイン
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素晴らしい精悍なデザインで高級感あります。
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サイドウッドの代わりにアルミ製のサイドパネルがあって、これがイイです。
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(C リングパネルがないので) 直接的で軽快なボタン操作ができます。
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感度と音質
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FM の感度は抜群に良く、S/N が良いです。
細かい音がよく聴けます。
艶っぽい音がします。
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AM の感度も抜群に良く、S/N も良いです。
AM としては音質も良く、放送を楽しめます。