SONY ST-SA5ES (8号機) が到着!
2024年2月26日、福岡県粕屋郡の N さんより
SONY ST-SA5ES
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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SONY ST-SA5ES の IFT251 部品が壊れてしまいました。
同調が 0.1MHz ずれていたので回していたら、中心部分が欠けました。
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それまでは 0.1MHz ずれでステレオで聞けていました。
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外観
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製造シリアル番号は [200027] で、電源コードの製造マーキングより [1994年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] の添付はありませんでした。
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非常に綺麗な逸品で、特に指摘するような問題はありません。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様です。
ボタン操作に問題はなく良好です。
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プリセットメモリが全部クリアされて初期値に戻っていました。
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メモリバックアップ用の電気二重層コンデンサが劣化していると思います。
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FM 受信
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[IFT251] が故障しているということなので、以下の不具合があります。
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受信はできるのですが、[STEREO] 表示が点きません。
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オートチューニングで放送局を見つけられず、永遠にサーチを繰り返しています。
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AM 受信
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手持ちの [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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ちゃんと受信して感度も良いです。
ニッポン放送 (1242kHz) では AM STEREO で受信できます。
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特に問題なさそうです。
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カバーを開けてチェック
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内部の基板は非常に綺麗です。
[IFT251] 以外に目視で劣化とわかる部品は見当たりません。
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[IFT251] はコアドライバを入れる溝が完全に割れて無くなっています。
こうなると [IFT251] の修理は無理です。
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FM フロントエンドのトリマコンデンサの故障は多いです。
[CT101] を回しても感度に変化がありません。
完全に故障しています。
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各種調整ボリュームなどを見ると、既にいじられているような形跡があります。
リペア (その1):[IFT251] が壊れている
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壊れた [IFT251] の状態
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コアドライバを入れる溝が完全に割れて無くなっています。
おそらく修理依頼者はコアドライバではなく普通のドライバで回したのでしょう。
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この状態だと割れたコアを取り出すことができないので、[IFT251] の修理は無理です。
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修理
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[IFT251] を新品の代替品と交換しました。
代替品の内蔵チタコンは 82pF で ST-SA5ES 用に使うには 18pF 足りません。
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そこで基板の裏側で温度補償 30ppm/℃ の 20pF 積層セラミックコンデンサを追加しました。
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左の写真の赤〇で囲んだのは、交換前の [IFT251] で、右の写真は交換後です。

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修理後の動作確認
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到着時にあった「[STEREO] 表示が出ない」「オートチューニングできない」の不具合が直りました。
リペア (その2):[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] の交換
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概要
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[電気二重層コンデンサ] は電源 OFF 時のプリセット情報をバックアップします。
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[タンタルコンデンサ] は短絡事故が多く、別の種類のコンデンサに交換すると幸せになります。
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使われていたタンタルコンデンサの耐圧が 6.3V しかありません。
ここには 6V 近くの電圧がかかります。
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タンタルコンデンサは耐圧を超えた電圧がかかると簡単に内部短絡します。
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半世紀前に [人気者] だったタンタルコンデンサは、現在では短絡事故が多いことから [嫌われ者] になっています。
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換装する積層セラミックコンデンサはタンタルより ESR が低く高性能でやや高価な無極性コンデンサです。
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交換
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左の写真で、小さな赤〇で囲んだのが [C604]、大きな赤〇で囲んだのが [C605] の交換後です。
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右の写真で、赤〇で囲んだのが [C437] の交換後です。

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右の写真は交換前に基板に実装されていた [C605] [C604] [C437] です。
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以下は交換リストです。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C437 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
|
| C604 |
10uF/6.3V (タンタル) |
10uF/25V (積層セラミック) |
|
| C605 |
0.1F/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
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電気二重層コンデンサは 0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
リペア (その3):FM フロントエンドの [CT101] トリマコンデンサが故障している
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概要
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[トリマコンデンサ] はハトメ構造になっており、経年変化でハトメ部分が接触不良になって容量抜けします。
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こうなると FM の感度が低下します。
少しずつ徐々に不良になっていくので気付くのが遅れます。
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ST-S333ES シリーズでは [トリマコンデンサ] の故障が散見されます。
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修理
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[トリマコンデンサ] ×3個を一斉交換しました。
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左の写真で黄〇で囲んだ部品が交換後です。
10pF セラミックトリマコンデンサを使いました。
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右の写真は交換前に基板に実装されていたトリマコンデンサです。

リペア (その4):リアパネルにある端子のハンダクラック予防補修
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解説
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リアパネルにある端子のリードは基板に直接ハンダ付けされています。
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このハンダ付け部分には [リアパネル] [基板] の2方向から常にストレスを受けるのでハンダクラックしやすいのです。
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今回、[IFT251] を交換するために基板を取り外したので、ついでに補修しました。
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ハンダクラック予防補修
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[FM ANTENNA (A/B)] [AM ANTENNA] [OUTPUT] 端子のリードのハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように正常でした。
| VP |
表示電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+30.8V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+15.1V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.8V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.2V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5V |
+5.57V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信部
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あちこち調整をいじられているのか、かなり調整ズレがありました。
再調整で全て規定内に入りました。
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ステレオセパレーションや高調波歪率などは以下のように大きく改善し、素晴らしい音になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stero/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
61 |
66 |
dB |
| NARROW |
40 |
40 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.010 |
% |
| stereo |
0.017 |
% |
| NARROW |
mono |
0.11 |
% |
| stereo |
0.11 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-74 |
-74 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
-0.02 |
dB |
| CAL TONE |
WIDE |
mono |
419.9 |
Hz |
| -5.3 |
dB |
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AM 受信部
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AM は手持ちの [ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] で最高性能になるよう調整しました。
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AM の場合はループアンテナも同調回路の一部なので、純正アンテナ以外で使うと感度が落ちます。
使ってみました
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再調整が終わって
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[IFT251] は修理依頼者が壊したので仕方ないですが、FM フロントエンドのトリマコンデンサも故障していました。
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トリマコンデンサは少しずつ劣化していくので、修理依頼者のほうで気が付いていなかったと思います。
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全て直って新品時の性能に蘇ってよかったです。
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デザイン
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素晴らしい精悍なデザインで高級感あります。
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サイドウッドの代わりにアルミ製のサイドパネルがあって、これがイイです。
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(C リングパネルがないので) 直接的で軽快なボタン操作ができます。
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感度と音質
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FM の感度は抜群に良く、S/N が良いです。
細かい音がよく聴けます。
艶っぽい音がします。
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AM の感度も抜群に良く、S/N も良いです。
AM としては音質も良く、放送を楽しめます。