2015年5月28日、
Accuphase T-108
を豊橋市の K さんより、研究用にお借りしました。
定価12万円
の高級機です。
中古でも高価なので、なかなか入手に踏み切れないマシンです。
基板の作りは非常に良いです。
写真をクリックすると拡大写真を表示できます。
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1ボードでスッキリした綺麗な構成の基板です。
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基板の材質はガラスエポキシです。
素晴らしいです。
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使っている部品のグレードが高く、緑色の [MUSE 電解コンデンサ] や [ポリプロピレンコンデンサ] が適所に使われています。
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底板が外れるので、部品交換など、メンテナンス性が良いです。
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以下の IC を使用して合理化が図られています。
メーカ IC 機能 Accuphase 426-0009-00 MCU JRC NJM2068SD LOW-NOISE DUAL OPERATIONAL AMPLIFIER Mitsubishi M6M80011AP 1024 BIT ELECTRICALLY
ERASABLE AND PROGRAMMABLE ROMNEC uPC1276G FM FRONTEND uPC24M05 3-Terminal Low Dropout Voltage Regulator (+5V) uPC24M12 3-Terminal Low Dropout Voltage Regulator (+12V) uPC79M12A 3-Terminal 0.5A Negative Voltage Regulator (-12V) SANYO LA3401 VCO Non-Adjusting PLL FM MPX TOSHIBA TA7060AP FM IF Amplifier TA7302P FM IF Amplifier TA7310P OSC & Mixer TA8129Z FM IF System (Differential Peak Detection) TC4001BP QUAD 2 INPUT NOR GATE TC4013BP DUAL D-TYPE FLIP-FLOP TC4053BP SINGLE 8-CHANNEL
MULTIPLEXER/DEMULTIPLEXERTC4093BP QUAD 2-INPUT NAND SCHMITT TRIGGERS TC4099BP 8-BIT ADDRESSABLE LATCH TC40103BP 8-STAGE PRESETTABLE
SYNCHRONOUS DOWN COUNTERTC40HC004P Hex Inverter TC40H386P QUAD 2-INPUT EXCLUSIVE-OR TC4584BP Hex Inverting Schmitt Trigger TC74HC4060AP 14-stage binary ripple counter with oscillator TC9172AP High Speed PLL with Built-In Prescaler
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使用 IC のロット番号より、この T-108 は1991年製と判明しました。
電源ケーブルのマーキングは1990年でした。
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独立したフロントエンドではなく、チューナ基板上に構成されています。
シールドケースを配置し、高級感を醸し出しています。
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シールドケース内には、ユニフェーズ CF (UCF) を1個と、PLL コンパレータ (TC9172AP) が内蔵されています。
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以下の5連バリキャップ構成です。
同調部は全て2点トラッキング調整できます。
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(ANT)→[同調]→[同調]→[FET]→[同調]→[同調]→[Balanced Mxer (Dual FET IC)]→[IFT]→[FET]→[CF]→(IF)
←[OSC 同調 (TR)]
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NORMAL (WIDE) 時は以下の構成です。
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(FE)→[FET]→[UCF]→[TA7060AP]→[UCF]→[TA7302P]→[IFT]→[TA7302P]→[IFT]→[TA7310P]→[IFT]→(DET)
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NARROW 時は以下の構成です。
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(FE)→[FET]→
[CF]→[TA7060AP]→[CF]→[TA7060AP]→
[UCF]→[TA7060AP]→[UCF]→[TA7302P]→[IFT]→[TA7302P]→[IFT]→[TA7310P]→[IFT]→(DET)
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S メータ＆同調点検出用の専用 IF 部があります。
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(FE)→[FET]→[CF]→[TA8129Z] [IFT]→(S meter / Muting)
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TA8129Z にはクォードラチュア検波部があり、T-108 では同調点検出に使われます。
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T メータ出力は 9～13pin 間 (R99 両端) で、同調点検出出力は 7pin です。
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同調点調整は IFT の T6 のコアを回すことで行います。
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T メータ出力は 9～13pin 間 (R99 両端) で、同調点検出出力は 7pin です。
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TA8129Z にはクォードラチュア検波部があり、T-108 では同調点検出に使われます。
DGL 検波部
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DGL とは Differential Gain Linear の略です。
DGL 検波の前に 10.7MHz の IF 周波数を [TA7310P] で 2.5MHz にダウンコンバートします。
右の回路図はダウンコンバート部です。
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[TA7310P] と [13.2MHz クリスタル発振子] で 13.2MHz - 10.7MHz = 2.5MHz としています。
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クリスタル発振子を使っているので（ほぼ）無調整回路となっています。
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KENWOOD や Pioneer のチューナではダウンコンバート後に急峻な LPF を入れているのですが、T-108 ではそのような LPF がないのに、デジタル処理に適した綺麗な波形（方形波）が得られています。
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[TA7310P] と [13.2MHz クリスタル発振子] で 13.2MHz - 10.7MHz = 2.5MHz としています。
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DGL 検波は右のような回路です。
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CMOS IC の遅延特性を利用し、位相角0度の信号と位相角114度の信号 (いずれも 2.5MHz) を EX-OR した結果を積分して AF 信号を再生します。
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以上のため、全くの無調整回路となっています。
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原理的にパルスカウント検波そのものです。
TRIO/KENWOOD, Pioneer のパルスカウント検波より一歩進んだ回路と言えます。
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右のタイムチャートは回路図の A, B, C 点の波形例を示します。
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タイムチャートの左は無変調時の場合で、右は変調されている場合です。
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TRIO/KENWOOD, Pioneer のパルスカウント検波ではワンショットマルチを使うので、ノイズが多い微弱電波では、このワンショットが誤動作を起こし、歪が大幅に増大しますが、DGL 検波では誤動作しません。
微弱電波もそれなりに検波します。
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CMOS IC の遅延特性を利用し、位相角0度の信号と位相角114度の信号 (いずれも 2.5MHz) を EX-OR した結果を積分して AF 信号を再生します。
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[LA3401] で構成します。
VCO は 456kHz のセラロック発振子を使った無調整回路になっています。
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この部分の調整はセパレーション調整だけです。
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プリセット情報は Serial EEPROM の [M6M80011AP] に記憶します。
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EEPROM なので電源を切っても記憶は永久に保存されます。
やはり Accuphase です。
デザインが秀逸です。
特に正面から見た時の豪華さに惚れ惚れします。
リアパネルの端子は [ANTENNA] [BALANCED OUTPUT (FIXED)] [UNBALANCED OUTPUT (FIXED)] [UNBALANCED OUTPUT (CONTROLLED)] です。
