TRIO KT-9700 (3号機) が到着
2023年10月4日、福岡県糸島市の H さんから
TRIO KT-9700
の修理依頼品が到着しました。
定価15万円
で
パルスカウント検波
の
FM 専用チューナ
です。
程度&動作チェック
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依頼者のコメント
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TRIO KT-9700を愛用していました。
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ところが、昨日朝 (2023年9月29日)、電源 ON したらランプ等の点灯がなく動作しませんでした。
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テスターでチェックしたところ、電源基板の端子に 100V は来ています。
点検・修理お願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [560447] です。
ウッドケース入りで巨大な感じがします。
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AC100V 電源入力がパソコンと同じ 3P コネクタに変更されています。
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フロントパネルとリアパネルは綺麗です。
リアパネルの端子類も問題ありません。
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電源 ON してチェック
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[power] スイッチを ON にしても電源が入りません。
よって、これ以上チェックできません。
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カバーを開けてチェック
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内部の状態は良いです。
目視で確認できる劣化部品はないです。
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使用している IC のロット番号より、本機は [1977年製造品] と判明しました。
もうすぐ半世紀ビンテージ品です。
リペア (その1):電源が入らない
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調べたところ、裏側に設置されている電源トランスの一次側巻線が内部断線していました。
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とりあえず電源トランスを外してみましたが、[エポキシ充填のケース入り] なので、お手上げです。
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電源トランスの故障は滅多になく、たまたま不運だったと思うしかないです。
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この状況を修理依頼者に伝え、修理方案を協議しました。
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以下の3つが考えられます。
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ドナーとなるジャンクの KT-9700 を手配していただき、そこから電源トランスを移植する。
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代替できそうな電源トランスを調達し、それと交換する。
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修理を諦める。
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筆者のほうで [2] の代替トランスの市販品を探してみたのですが、合致しそうなものは海外にしかありません。
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海外調達だとトランスは重いので送料のほうが高くつきます。
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あとは日本メーカに特注するしか ・・・ これもかなり高価になります。
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結論として、修理依頼者に部品取りジャンクの KT-9700 を手配してもらいました。
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部品取りジャンクの KT-9700 が届いたので、まずはこれをチェック
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[power] スイッチ ON でダイヤル面の照明ランプが点灯するのですが、全く動作しません。
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[電源基板] で±13V を作成しますが、測ってみると±1.5V しかありません。
これでは動作しません。
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電源トランスの二次側の AC 電圧は正常です。
[電源基板] は故障していますが、電源トランスは活きています。
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修理
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左の写真は修理するほうの KT-9700 の電源トランスです。
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右の写真はジャンクの KT-9700 から取り出した電源トランスで、これと置き換えました。

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修理後の動作確認
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ちゃんと FM 受信でき [stereo] ランプも点灯し音も良い感じです。
直りました!!!
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照明ランプ切れはありません。
各スイッチは正常に反応します。
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[IF band] の [normal] [wide] LED が点灯しません。
[mpx filer] LED も点灯しません。
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ダイヤル照明が点くようになったので判明したのですが、ダイヤル内側の周波数パネルに僅かにホコリがあります。
リペア (その2):[IF band] の [normal] [wide] LED が点灯しない
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原因
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左から2つ目の LED が故障して断線状態になったのが原因です。
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[normal] [wide] LED は直列接続になっており、1本切れると全部点かなくなります。
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修理
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切れた1本だけの交換では発色や明るさが不揃いになります。
全数 (6本) を一斉交換しました。
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左の写真が [ランプ基板] から取り外した LED です。
右の写真が交換のために使った
SANYO SLP-224B
です。
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形状は違うのですが寸法的に互換性があり、発色や明るさもほぼ同じです。

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修理後の動作確認
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[IF band] スイッチを切り換えると [IF band] LED も正しく点灯します。
直りました!!!
リペア (その3):[mpx filter] LED が点灯しない
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原因
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修理
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切れた1本だけの交換では発色や明るさが不揃いになります。
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同じ位置に並んでいる [stereo] [FM muting] [mpx filter] LED を一斉交換しました。
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単純に交換すると (最新の LED なので) 明るくなり過ぎます。
そこで以下の電流制限抵抗も一緒に交換しました。
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1kΩ→47kΩ ですから、同じ明るさにするのに最新の LED は 1/50 の電流で済むのです。
ちょっとだけ省エネ。
| 基板 |
部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| MPX 基板 |
R30 |
1kΩ |
47kΩ |
stereo |
| SW 基板 |
R57 |
1kΩ |
47kΩ |
FM muting |
| R64 |
1kΩ |
47kΩ |
mpx filter |
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左の写真が取り外した LED と電流制限抵抗です。
右の写真が交換のために使った [2mm top, 赤色, 500mcd] LED です。
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LED の形状は、オリジナルが円柱型、交換品がフラット型 と違うのですが
寸法
的に互換性があります。
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LED 取り付けのコツ ・・・ LED をピッタリ高さ合わせする
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まだハンダ付けしない状態で LED をランプ基板に挿入します。
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この状態のまま LED とランプ基板をランプホルダに取り付けます。
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LED 先端がランプホルダから飛び出た状態にして、そこでリードをハンダ付けします。

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修理後の動作確認
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[stereo] [FM muting] [mpx filter] LED が正しく点灯します。
直りました!!!
リペア (その4):ダイヤル内側の周波数パネルに僅かにホコリがある
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フロントパネルを分解し、周波数表示ガラスは中性洗剤を使って水洗いし、ホコリが綺麗に除去できました。
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ダイヤルパネル内も清掃しました。
ウットリするほど綺麗な周波数ダイヤル照明になりました。
再調整
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電圧チェッック (VP)
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実測値は以下のように正常でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
| [PS 基板] 2pin (+B) |
+13V |
+13.6V |
〇 |
| [PS 基板] 4pin (-B) |
-13V |
-13.6V |
〇 |
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FM 受信部の調整
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KT-9700 (1号機)
に記載の調整手順で再調整しました。
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再調整前に現状値を軽く測定したら良好でした。
結果は以下です。
| 項目 |
IF band |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
wide |
stereo |
62 |
57 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
wide |
mono |
0.049 |
% |
| stereo |
0.049 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
wide |
stereo |
-68 |
-68 |
dB |
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調整結果
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再調整で少し性能アップしましたが、再調整前とそう変わりませんでした。
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この個体は割と最近に調整されていたと思います。
| 項目 |
IF band |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
wide |
stereo |
67 |
67 |
dB |
| normal |
45 |
48 |
dB |
| narrow |
38 |
38 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
wide |
mono |
0.031 |
% |
| stereo |
0.031 |
% |
| normal |
mono |
0.11 |
% |
| stereo |
0.11 |
% |
| narrow |
mono |
0.16 |
% |
| stereo |
0.16 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
wide |
stereo |
-68 |
-69 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
wide |
mono |
0 |
-0.09 |
dB |
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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本機は電源トランスが故障していた以外は非常に性能状態が良かったです。
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修理依頼者にドナー機を手配していただいて費用が嵩んだと思いますが、修理すべき逸品だったと思います。
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フロントパネル内を清掃して美しさに更に磨きがかかりました。
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デザイン
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ともかく大きくて重いです。
アンプより重いかもしれません。
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KT-9700 のウッドケースを初めて見ました。
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これに入れる重厚感というか、メチャメチャ大きく感じます。
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そして超超高級に見えて圧倒感があります。
素晴らしいです。
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フロントパネルは 5.3mm の分厚いアルミ材で高級感あります。
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チューニングノブは直径 50mm のアルミ材で高級感あります。
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チューニングノブでダイヤル指針は、高級感のある動きをします。
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最前面の透明パネルと内部の周波数パネルがガラスでできています。
このため透明度が高く高級感バッチリです。
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感度や音質
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感度は良好で、妨害電波排除能力も優れています。
ともかく安定感があるというか、さすが高級機です。
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ウットリ聴き惚れてしまうほうどの高音質!
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スッキリ爽快な誇張のないクリアな音質です。
ナチュラルサウンドという感じする素敵な音です。
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音に解像度があって、ハーモニーもしっかり再生します。
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放送局のモニタ機として測定器代わりに使えるほどのクセない超高音質です。