Victor FX-711 (8号機) をゲット!
2025年10月19日、東京都青梅市の M さんから
Victor FX-711
を研究用に寄贈いただきました。
本機は2024年1月に修理して返却しています。
AUDIO DYNAMICS T-1
に入れ換えて不要になったとのことで、お下がりとして寄贈となりました。
動作チェックしたところ動作良好だったので、念のため調整だけやり直して、2026年3月4日にメンテナンスを完了しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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ヤフオクで入手した FX-711 です。
普通に受信できているのですが、受信局のプリセット記憶ができません。
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アンプの switched コンセントに繋いでいて、アンプの電源を切るとプリセットが消えてしまいます。
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プリセット以外も一通り診ていただきたいです。
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どの機種のものなのかわからないのですが、家で使っている AM アンテナを同梱しました。
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外観
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製造シリアル番号は [07405548] で、電源コードの製造マーキングより [1988年製造品] と判りました。
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純正ではありませんが [AM ループアンテナ] の添付がありました。
このアンテナに合うよう調整します。
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フロントパネルの正面に汚れが目立ちますがキズやスレはなさそうです。
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フロントパネルの天板への折り返し部分にポツッしたごく小さいキズが4個あります。
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リアパネルの端子に僅かなサビは出ていますが問題はなさそうです。
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天板には目立つ大きなスレがあります。
ここはラックに入れると見えない部分なので諦めかな。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく ON できました。
各種ボタンは正常に動作します。
FL 表示管の輝度は新品同様です。
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[OPTICALINK] ランプが点灯しないことがあります。
正しくは常時点灯です。
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「プリセットが消える」とのことで、AC プラグを抜いてみましたがプリセットは消えませんでした。
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FM 受信
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問題なく受信でき [STEREO] 表示も出ます。
周波数ズレは感じません。
音も良い感じです。
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AM 受信
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添付された純正でない AM ループアンテナで問題なく受信できました。
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カバーを開けてチェック
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内部はは非常に綺麗です。
目視で問題がありそうな部品は見当たりません。
リペア (その1):電源を切るとプリセットが消えてしまう ・・・ 修理依頼者より
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調査
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FX-711 のプリセットメモリのバックアップ仕様は以下です。
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AC プラグに給電されていると、[POWER] スイッチが OFF でも常にメモリに電圧を加圧し記憶を保持します。
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AC プラグへの給電が停止すると電気二重層コンデンサによるメモリバックアップが開始され、1週間は記憶を保持します
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実際に試験してみました。
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30分間 AC プラグをコンセント抜いてみましたがプリセット保持していました。
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12時間 AC プラグをコンセント抜いてみましたがプリセット保持していました。
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修理依頼者からは「AC プラグの給電を停止するとすぐにプリセットが消える」のように聞いていましたが、違うようです。
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修理依頼者に1週間以上、給電停止したことがあったか再確認
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バックアップ期間が1週間であることは知らなかった。
ずっと記憶保持してくれると思っていた。
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1週間以上、給電停止したことがあった。
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修理
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バックアップ時間の試験は時間がかかるので無理です。
1週間のバックアップ試験には1週間以上かかるのです。
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メモリバックアップする [電気二重層コンデンサ] は問題ないのかもしれませんが、試験できないので、念のため交換しました。
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左の写真は [電気二重層コンデンサ] 交換前で、右の写真は交換後です。

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動作確認
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プリセットができ、AC プラグを抜いてもプリセットが保持されていることを確認しました。
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ただし、AC プラグを抜いていたのは30分くらいです。
リペア (その2):[OPTICALINK] ランプが点灯しないことがある
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調査
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左の写真で赤い部品が [OPTICALINK] ランプ (LED) です。
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この LED の裏側のハンダ付け部が、右の写真のように、6ピン全てで見事にハンダクラックしていました。
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ピンの周りのハンダが同心円状にヒビ割れしています。
これがハンダクラックです。

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修理
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LED の6ピン全てと [POWER] スイッチのリードなどを補修ハンダ付けして直りました。
リペア (その3):その他
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フロントパネルに汚れが目立つ
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電気二重層コンデンサ交換でフロントパネルを分解する必要があったので、この時にフロントパネル内外を清掃しました。
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到着時よりかなりマシになりました。
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フロントパネルの天板への折り返し部分にポツッしたごく小さいキズが4個ある
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自動車用タッチペン・つや消し黒で補修塗りして目立たなくなりました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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以下のように全て良好です。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| チューナ基板 |
W305 (Q801-E) |
+30V |
+28.4V |
〇 |
VT 電源 |
| W116 (Q803-E) |
+12V |
+11.6V |
〇 |
チューナ電源 オーディオ電源 |
| W113 (Q808-E) |
-12V |
-12.6V |
〇 |
| W307 (Q805-E) |
+5V |
+5.16V |
〇 |
ロジック電源 |
| 電源基板 |
J705-3pin |
+5.6V |
+5.70V |
〇 |
MCU 電源 |
| J705-5pin |
-35V |
-34.3V |
〇 |
FL 電源 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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dB S メータ表示の校正がかなりズレていました。
校正調整して表示数値に信頼できるようになりました。
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上記以外には大きな調整ズレはありませんでしたが、やはり再調整で性能が上がりました。
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IF BAND = WIDE では下の実測値のように、ものすごく良い性能が出て、すごく良い音になりました。
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IF BAND = NARROW ではかなり悪くなるので、このモードではあまり使わないほうが良いです。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
63 |
63 |
dB |
| NARROW |
27 |
27 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.017 |
% |
| stereo |
0.022 |
% |
| NARROW |
mono |
0.16 |
% |
| stereo |
0.16 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-49 |
-49 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
+0.10 |
dB |
| REC CAL |
WIDE |
mono |
398 |
Hz |
| -6.0 |
dB |
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AM 受信
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添付された純正ではない [AM ループアンテナ] で最高性能になるように調整しました。
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この [AM ループアンテナ] 以外で使うと性能が落ちると思います。
使ってみました
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FX-711 は Victor 最頂点のチューナです
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5連バリキャップで高周波系の性能が良く、しかも音が良いです。
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鳶のビクターが鷹の本機を生んだかのような奇跡の高性能チューナです。
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SONY ST-S333ESX シリーズを越えているかもしれない。
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FM 受信
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感度が良く、受信レベルが dB で表示でき、しかも正確です。
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聴いた瞬間に高音質と判る良い音
、素敵です。
聴き惚れます。
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PLL 検波らしい、スッキリした解像度感のある音です。
細かい音が綺麗に出る繊細な音です。
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本機の FM 受信時 S メータの dB 表示はかなり正確です。
30~90dB の表示範囲は信じてよいです。
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AM 受信
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添付された [AM ループアンテナ] での感度はかなり高く、S/N も良いです。
音質は AM としては普通レベルです。
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本機のような FM が超高音質のチューナで、ナロー音質の AM をわざわざ楽しむ人はいないと思う。