YAMAHA T-2 (7号機) が到着!
2024年3月12日、三重県亀岡市の F さんから
YAMAHA T-2
の修理依頼品が到着しました。
この写真は照明 LED 化後です。
FM 専用機
で定価13万円の高級チューナです。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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電源が入り、照明ランプの切れもなく、指針も違和感なく移動しますが、オークション入手のため性能不明です。
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外観は古いのでそれなりです。
修理不能では意味がないので、アンテナは修理メンテが終了後に設置予定です。
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[オーディオ出力の RCA 端子を金メッキ端子に交換] [F 端子を新品に交換] [ランプ類照明の LED 化] をお願いします。
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[S メータ] [T メータ] の指針をオレンジに再塗装お願いします。
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電解コンデンサ等の部品交換については、状態を見ていただいて必要があればお願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [03490] で、電源コードの製造マーキングよりは製造年は不明でした。
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天板に木目のように筋が入っていて綺麗ではありません。
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試しに一部分を無水アルコールで拭いてみたところ、真っ黒な塗料?みたいなものがウェスに付きました。
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どうやら黒の靴墨のようなものが塗られているようです。
拭き取った面を見ると綺麗な黒アルマイト地が見えます。
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全部拭き取ると綺麗になるか?新たなスレが出るか?
修理依頼者のほうで清掃するとのことで、当方ではノータッチです。
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天板以外は問題な箇所はありません。
リアパネルの端子類に錆が出ています。
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この機種によくある [S メータ] [T メータ] の指針の塗装ハゲが出ておりブツブツ状態になっています。
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電源 ON してチェック
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電源が入り、照明ランプ切れはありません。
周波数表示器と操作ボタンは良好です。
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当方の環境では [S メータ] の振れが80くらいで、特に問題なくステレオ受信できました。
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ただし、音が平坦な気がします。
音が飛び出してこないというか。
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[T メータ] の振れは左右で大きく違い、同調点がズレている感じがします。
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再調整すれば新品時の性能に蘇りそうです。
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カバーを開けてチェック
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使用 IC のロット番号より、本機は [1977年製造品] とわかりました。
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電源部の電解コンデンサ 470uF/25V 1個で膨張が見られます。
このまま放置すると液漏れするので交換が必要です。
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ほぼ密閉構造のため、内部は非常に綺麗です。
上記以外に目視で劣化がみられる部品は無さそうに思います。
リペア (その1):電源部の 電解コンデンサ×1個 が膨張している
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交換対象の電解コンデンサ
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膨張して劣化している電解コンデンサと同じものは全部で5個使われています。
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心配なので5個とも一斉交換します。
耐熱105℃にするので信頼性が上がります。
以下が交換リストです。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C270 |
470uF/25V (85℃) |
560uF/50V (105℃) |
電解コンデンサ |
| C272 |
470uF/25V (85℃) |
560uF/50V (105℃) |
| C273 |
470uF/25V (85℃) |
560uF/50V (105℃) |
| C276 |
470uF/25V (85℃) |
560uF/50V (105℃) |
| C277 |
470uF/25V (85℃) |
560uF/50V (105℃) |
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交換
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左の写真は交換後で 黒い円筒形の電解コンデンサ×5個 です。
右の写真は元々実装されていた電解コンデンサです。
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耐熱が上がり、耐圧が上がり、容量が上がったのにサイズは小さくなって風通しが良くなって信頼性が上がります。

リペア (その2):オーディオ出力 RCA 端子交換 ・・・ 修理依頼者の要求
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交換後の様子
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左の写真は RCA 端子交換後で完成の姿です。
金ピカの眩しい端子に変身しました。
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写真の右側に見える MULTIPATH 端子は交換していないのでみすぼらしいです。
黒いダストカバーでも嵌めておけば目立たないかも。
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単純に穴に取り付けているのではありません。
右の写真のように片面プリント板で製作した取付板で位置固定しています。
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既に開いている穴径が大き過ぎて、端子が正しい位置にシッカリ留められないので、取付板が必要なのです。
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この取付板の製作に手間と時間がかかりました。
片面プリント板を使ったのは、GND 処理が綺麗にできるからです。

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補足説明
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左の写真は取付板です。
製作手順は以下です。
大変な手間と時間がかかります。
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まずは正確に寸法計測して、取付板のサイズと穴開け位置を決めます。
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四隅の穴は普通のドリル刃で開け、RCA 端子が入る穴はステップドリル刃で直径 8mm にします。
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ノガバー
でバリ取りをします。
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銅面はサビやすいので
PC ボードプロテクタ
で防錆処理します。
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右の写真はこれまで取り付けられていた端子台です。
サビて黒くなっていました。

リペア (その3):F 端子交換 ・・・ 修理依頼者の要求
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交換後の様子
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左の写真は F 端子交換後で完成の姿です。
右の写真はこれまで取り付けられていた F 端子台で、サビて黒くなっていました。

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補足説明
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新しい F 端子は元のものより長いものを使いました。
簡易 F プラグでつなぐ場合、こちらのほうがシッカリ差し込めるのです。
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古い F 端子は後ろからナットで留めるものでしたが、新しい F 端子は前からナットで留めます。
こちらのほうがメンテナンス性が良いです。
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F 端子交換ではリアパネルの分解とシャーシにハンダ付けされている太いアース線を外す必要があり、これも手間と時間がかかりました。
メーカはまさか F 端子を交換するとは思っていない訳で、そもそも交換しやすい構造になっていないのです。
リペア (その4):メータ指針の再塗装 ・・・ 修理依頼者の要求
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再塗装中の様子
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右の写真は再塗装作業中です。
ボール紙で塗料が他に付かないよう養生しました。
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元の塗装は風化してボロボロになっているので、ブラシで軽く擦るだけで簡単に取れました。
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オレンジ色のエナメル塗料を使いました。
元の赤よりこの色のほうがよく見えるのです。
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これもメチャクチャ時間がかかる作業です。
なぜなら3度塗りするので、塗料が乾くまでの待ち時間が長いのです。
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再塗装完了
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3時間ほどかかって [S メータ] [T メータ] の指針の再塗装が完了しました。
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メータを耐熱260℃のポリイミドテープを使って再組立てしました。
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[S メータ] [T メータ] を使ってみたら、やはりオレンジ色は見やすく正解です。
リペア (その5):照明ランプの LED 化 ・・・ 修理依頼者の要求
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下の回路図のように、オリジナルのフィラメントランプから LED に交換しました

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LED は直流駆動する必要があるのですが、オリジナルで既に一部直流化されていたので、流用しました。
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LED にすると電流が極端に減るので直流電圧が上がり、PL1 間電圧が DC18.7V になりました。
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C269 が [100uF/16V] では耐圧オーバーになります。
そこで、[100uF/25V] に交換しました。
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指針の LED には 5mm 砲弾型 超高輝度 19000mcd 赤色タイプを使いました。
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ダイヤルとメータの LED には 5mm 砲弾型 超高輝度 10000mcd 白色タイプを使いました。
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これらにはオリジナルの緑キャップ被せるので、緑っぽいブルーの色目になります。
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消費電力は 18.7V×(6.6mA+7.8mA)=0.27W となりました
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しかもフィラメントランプの時より明るくなりました。
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フィラメントランプの時は 4.6W 消費していたので、4.3W も省エネになりました。
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下の写真は LED 化後です
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LED 化すると、どうしても色目が変わってしまいますが、この色も現代的な感じがして良いです。
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半世紀物ビンテージチューナが現代的なチューナに変身しました。
なかなか写真撮りが難しく、実物のほうがはるかに綺麗です。

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下の写真は交換前に実装されていた部品です
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左から [フィラメントランプ]×4個、[100uF/16V] 電解コンデンサ、[指針照明フィルタ]×2個 です。
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[指針照明フィルタ] は赤色 LED を使ったので不要になりました。

再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| #4-4pin |
+5V |
+5.19V |
〇 |
| #5-5pin |
+13V |
+13.1V |
〇 |
| #5-6pin |
-13V |
-12.3V |
〇 |
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FM 受信部の再調整
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調整結果
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同調点調整が大きくズレていました。
このため、高調波歪率が悪化していましたが、再調整で直りました。
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ステレオセパレーションが大きく落ち込んでしました。
再調整で蘇り、音の解像度が大きく上がりました。
| 項目 |
IF MODE |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
LOCAL |
stereo |
61 |
61 |
dB |
| DX |
27 |
27 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
LOCAL |
mono |
0.024 |
% |
| stereo |
0.024 |
% |
| DX |
mono |
0.15 |
% |
| stereo |
0.22 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
LOCAL |
stereo |
-48 |
-48 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
LOCAL |
mono |
0 |
+0.03 |
dB |
| REC CAL |
LOCAL |
mono |
366.1 |
Hz |
| -6.6 |
dB |
使ってみました
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デザイン
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まずはズッシリ重たいことに驚きます。
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全体が厚いアルミ材で出来ており、とっても高級感があります。
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YAMAHA らしい優れたデザインです。
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操作性
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一般的な操作は直感で判ります。
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チューニングノブの動きは高級機らしい重みがあってスムーズです。
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アンテナ端子は F 端子のため、妨害電波の混入を防げます。
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FM 受信
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妨害波排除能力は強力です。
出てくる音は解像度感のあるシッカリした音です。