YAMAHA TX-2000 (7号機) が到着
2024年7月2日、茨城県古河市の O さんより、
YAMAHA TX-2000
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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一応受信しますがシグナル入力が弱い感じです。
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リモコンもありますが、反応しません。
もし直るようでしたら、こちらも修理お願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [E021809RT] で、電源コードの製造マーキングよりは製造年は判明しませんでした。
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純正 [RS-TX2000] リモコンと純正ではない [AM ループアンテナ] が添付されていました。
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全体に薄いサビが出ています。
リアパネルの端子類にもサビが出ています。
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TX-2000 でアルミ部分にこんなにビッシリ薄いサビが出ている個体を見たのは初めてです。
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おそらく温度・湿度など環境の悪い場所で長く使われていたのだと思います。
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真正面から眺めたフロントパネルは綺麗です。
操作はできますが、[TUNING] ノブの動きが重いです。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、ランプ切れはなく、操作もできます。
ディスプレイのバックライトはフィラメント麦球です。
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修理依頼者より「リモコン操作できない」と聞いていましたが、問題なくリモコンから操作できました。
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FM 受信
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放送を受信できて [STEREO] 表示が出て、ステレオ感のある音が出ます。
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84dBf 程度の電波で S メータの振れは80で、やや感度落ちしています。
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CSL 調整がズレている感じがします。
CSL 判定に一息かかるようです。
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AM 受信
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添付された純正ではないループアンテナを接続してチェックしました。
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S メータの振れはやや少ないですが、良好に受信できました。
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おそらくループアンテナがマッチングできていないのでしょう。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗です。
目視で劣化とわかる部品は見当たりません。
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使っている IC のロット番号より、本機は [1989年製造品] とわかりました。
リペア (その1):[TUNING] ノブの動きが重い
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原因
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修理
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注射器を使って軸の僅かな隙間から無水アルコールを流し込み、グリスを柔らかくしました。
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仕上げに軸に潤滑油を流し込みました。
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これで [TUNING] ノブは軽く回るようになりました。
直りました!
リペア (その2):FM の感度が低下している
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調査と原因
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放送波で、FM フロントエンドに実装されているトリマコンデンサ×4個を簡易調整してみました。
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[S メータ] を見ながらの簡易調整ですが、ピークが判り辛いです。
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トリマコンデンサが4個とも劣化しています。
これが感度落ちの原因です。
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修理
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左の写真は、赤〇で囲んだトリマコンデンサ×4個交換後です。
セラミックトリマコンデンサ 10pF に交換しました。
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右の写真は、基板に実装されていた劣化したトリマコンデンサです。
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トリマコンデンサの裏側のハトメ部分が錆て接触不良になって劣化するのです。
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使用環境か保管環境の湿度が高いと劣化しやすいです。
劣化すると交換するしかないです。

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放送波による簡易調整で [S メータ] はグ~ンと振れるようになりました。
直りました。
正式調整は再調整作業で行います。
リペア (その3):AM の感度がやや低い
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原因
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原因はハッキリしており、ループアンテナが純正品ではないからです。
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ループアンテナは AM の RF 同調回路の一部で、別のものにすると調整外れします。
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対策
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修理依頼者から添付されたループアンテナで RF 同調を合わせ込みます。
相性があって、必ずしも合わせ込みができるとは限りません。
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合わせ込み調整したところ、S メータの振れがビューンと大きくなり、感度が上がりました。
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このループアンテナで最高感度になるように調整したので、逆に純正ループアンテナにすると感度が落ちます。
リペア (その4):ハンダクラック予防補修
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ハンダクラックしやすい箇所
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左の写真で黄〇で囲んだ端子は [OUTPUT] [AM ANT] [FM ANT] 端子です。
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これらの端子のリードは基板にハンダ付けされています。
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このリードにはリアパネルと基板からの2方向からストレスを受けるので、ハンダクラックしやすいです。
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基板には左の写真のように、細長い銅板が走っています。
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これらはアースバーで基板にハンダ付けされています。
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銅板と基板の熱膨張率は違うのでハンダクラックしやすいです。

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予防補修
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上で解説したハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
これで更に10年は大丈夫です。
再調整
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内部電源の電圧チェック
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実測値は以下のように問題なく良好でした。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| +30 |
+29±1V |
+28.9V |
〇 |
| +12 |
+12.5±0.5V |
+12.5V |
〇 |
| -12 |
-12.5±0.5V |
-12.5V |
〇 |
| +6 |
+6±0.5V |
+6.17V |
〇 |
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FM/AM 受信部の再調整
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調整結果
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FM 受信部
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レシオ検波の同調点調整で大きなズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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到着時に CSL 調整がズレていると感じた本当の原因は、この同調点ズレでした。
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SUB 調整で大きなズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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ステレオセパレーションが大きく落ち込んでいましたが、再調整で TX-2000 本来の性能に戻りました。
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全体の再調整で聴き違えるほどの解像度の高い良い音になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
64 |
64 |
dB |
| NARROW |
59 |
59 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.080 |
% |
| stereo |
0.080 |
% |
| NARROW |
mono |
0.095 |
% |
| stereo |
0.095 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-49 |
-41 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
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AM 受信部
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添付された純正ではない [AM ループアンテナ] で最高感度になるように調整しました。
使ってみました
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修理が終わって
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到着時からそう大きな問題はなかったのですが、新品時の性能に蘇り、音は素晴らしく良くなりました。
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ワイド FM 対応クリコン
を使ったワイド FM 受信も良好でした。
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TX-2000 はアンテナ端子が2つあるので、ワイド FM 受信に便利です。
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現在の AM 放送は2028年にほぼ消滅するので今から準備するのが吉です。
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アルミ筐体全面に薄いサビが出ていますが・・・
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サビだけではなくて固着した油成分 (手垢?) も付いているようです。
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無水アルコールと粗目のティッシュで時間をかけてサビ落としをしてカーワックス仕上げするとマシになると思います。
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この作業は膨大な時間がかかるので、修理依頼者のほうでお願いします。
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デザイン
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YAMAHA のデザインは実に良いです。
緻密な感じもします。
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天板までアルミ材で高級感があります。
サイドウッドも高級感を醸し出しています。
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YAMAHA チューナの [S メータ] はクオリティメータとなっています。
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[電波レベル]-[マルチパス妨害レベル] のような振れ方になっています。
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電波レベルが強くてもマルチパス妨害が多いと振れが少なくなります。
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マルチパス妨害がない綺麗な電波状態だと 80dB でフルになります。
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FM 受信
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感度は非常に高く、妨害波排除能力も高いです。
S/N が抜群に良く、非常にクリアに聴こえます。
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柔らかい音の中にも解像度がある素晴らしく良い音です。
音のエネルギーの重心がやや低音側にあります。
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揺らぎを感じないので、ピアノの音が豊かで綺麗に出ます。
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AM 受信