KENWOOD KT-1100D (7号機) が到着
2024年5月30日、長野市の K さんより
KENWOOD KT-1100D
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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[NARROW] [DIRECT] の表示が極端に暗い。
信号強度バーの中程が点灯しない。
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DISTANCE で信号強度のバーがフルの時に DIRECT にすると信号強度のバーが1つも点灯しない
(正常なのか???)
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2年前の冬期に2~3度ディスプレイの大部分が点灯しなくなったが自然に治ってしまった
(点灯しなくても放送は聴けていた)
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FM アンテナ入力端子は改造してあります。
AM ループアンテナは純正ではありませんが、これで調整してください。
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外観
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製造シリアル番号は [69K10222] で、電源コードの製造マーキングより [1986年製造品] とわかりました。
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汚れやキズ・スレがほぼ皆無の超綺麗な逸品です。
純正ではない [AM ループアンテナ] が添付されていました。
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リアパネルの FM アンテナ端子はネジ式の F 端子に交換されています。
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電源 ON して動作チェック
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電源は入り、[TUNING] ノブや操作ボタンは正常に反応します。
[REC CAL] ボタンでテスト音が出ます。
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ディスプレイは表示しますが、以下の不具合あります。
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S メータの下から3ドット目が表示欠けしています。
同調を外れたところでも同じドットが欠けています。
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[DURECT] [NARROW] の表示が薄いです。
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FM 周波数表示で FM 88.8 MHz を表示させると、[2つ目、3つ目の数字の一部] が薄いです。
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AM 周波数表示で AM 1188 kHz を表示させると、[AM] [kHz] [1つ目、3つ目、4つ目の数字の一部] が薄いです。
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FM 受信
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問題なく受信できて [STEREO] 表示も出ます。
音も問題ないです。
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当方の 84dBf 電波レベルで S メータ表示は、DISTANCE ではフル、DIRECT では5ドットです。
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修理依頼者のいう DIRECT でゼロは確認できませんでした。
単純に修理依頼宅の電波レベルが当方より弱いのだと思います。
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ただ、感度落ちはありそうです。
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オートチューニングすると正しい放送周波数で止まります。
周波数ズレはないです。
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軽く現状のオーディオ性能を測定してみました。
実用範囲で特に問題なさそうです。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
43 |
49 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.027 |
% |
| stereo |
0.027 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-73 |
-73 |
dB |
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AM 受信
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添付された純正ではないループアンテナを接続してチェックしました。
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感度は良好で特に問題なく受信できます。
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カバーを開けてチェック
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基板は綺麗で、目視でわかる部品劣化はないようです。
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メモリバックアップ用電気二重層コンデンサ [C178] はそろそろ寿命です。
交換したほうがよいです。
リペア (その1):[電気二重層コンデンサ] の交換
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電気二重層コンデンサ交換
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電気二重層コンデンサでプリセットメモリの記憶をバックアップします。
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電気二重層コンデンサは経年劣化するので、最新の容量の大きいものと交換します。
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左の写真は交換後で、青色の部品が 1F/5.5V です。
最新型で小さいのに容量がはるかに大きくなりました。
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右の写真は元実装されていた 18mF/5.5V です。
かなり古いタイプです。

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電気二重層コンデンサは 18mF → 1F と56倍の容量になりました
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取扱説明書によるとメモリバックアップは1週間と書かれています。
(元の 18mF の時です。)
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容量が56倍になったので、計算上は56週間 (1年間) バックアップできるはずですが ・・・
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実際には、電気二重層コンデンサの自己放電もあるので、数ヶ月でしょう。
リペア (その2):ハンダクラックの予防補修
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ハンダクラックしやすい箇所
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左の写真はリアパネルにある [RCA 端子] です。
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ここはリアパネルと基板の2方向から常にストレスが掛かっているのでハンダクラックしやすいです。
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右の写真は電源部にある [放熱器が付けられたパワートランジスタ] です。
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ここは放熱器と基板の2方向から常にストレスが掛かっているのでハンダクラックしやすいです。

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予防補修
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基板の裏側で上記のハンダ付け部の古いハンダを除去してから新たに補修ハンダ付けしました。
リペア (その3):その他
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表示器に薄いところや表示欠けがある
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表示器にかかる信号の電圧を測定しましたが、薄いところや欠けがある信号部分の電圧は正常でした。
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こうなると、表示器そのものの故障です。
この表示器の新品は入手できないので修理不可です。
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どうしても直したい場合は、表示器が正常なジャンク KT-1100D を入手して移植交換するしかないです。
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2年前に表示器の大部分が点灯しなくなったことがあった ・・・ 修理依頼者より
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再現しないので、どこを調べてよいかわからず、対策できません。
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このまま使っていただいて再現し放しになったら再度修理依頼をお願いします。
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感度落ちしている
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FM フロントエンドのトラッキング再調整で直りました。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| Q40-E |
+15V |
+14.9V |
+14.7V |
〇 |
| Q42-E |
-14V |
-13.5V |
-13.1V |
〇 |
| IC14-OUT |
+5V |
+5.6V |
+5.60V |
〇 |
| Q46-E |
+28V |
+28V |
+28.8V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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同調点調整が少しズレていましたが、再調整で規定内に入りました。
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フロントエンドでトラッキングズレがあり、調整で少し感度が上がりました。
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当方では、DIRECT モードで S メータが 5ドット→6ドット になりました。
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PLL 検波で大きなズレがあり、再調整で高調波歪率が改善しました。
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ステレオセパレーションと高調波歪率が向上し、ハッとする素晴らしい音になりました。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
70 |
70 |
dB |
| NARROW |
65 |
64 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.011 |
% |
| stereo |
0.011 |
% |
| NARROW |
mono |
0.018 |
% |
| stereo |
0.024 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-77 |
-78 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
-0.02 |
dB |
| FM REC CAL 信号 |
WIDE |
mono |
398.4Hz |
Hz |
| -6.3 |
dB |
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AM 受信
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添付された [AM ループアンテナ] で最高感度になるように調整しました。
使ってみました
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今回のメンテナンスの感想
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表示器の表示不具合はひょっとしたらハンダクラックかと思ったのですが、表示器そのものの故障なのでどうしようもなかったです。
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再調整で優秀な性能に蘇り、音質も聴き違えるほど素晴らしい音になって良かったです。
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FM の音質はシャッキとした高音域が特長
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ハッとするような素晴らしくクリアな音
です。
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ソースの持つ質感や雰囲気をうまく表現します。
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AM の音質も良い
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でも、このような高級チューナで AM 聴く人いないような ・・・