KENWOOD KT-1100D (9号機) をゲット!
2025年12月12日、東京都練馬区の S さんより
KENWOOD KT-1100D
の要修理品を研究用に寄贈いただきました。
寄贈者の自家配送でした。
定価7.5万円
の高級シンセサイザ式 FM/AM チューナです。
メンテナンス後は少し外観が改善し、ステレオセパレーションと高調波歪率が非常に良く、音が素晴らしいと、当たりの個体でした。
程度&動作チェック
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寄贈者のコメント
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ハードオフ
吉祥寺店のジャンクコーナで
購入しました。
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値札には「FM/AM 受信して音出ました。FM にてステレオ同調しませんでした。」と書かれていました。
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外観チェック
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製造シリアル番号は [6ZK10995] で、電源コードの製造マーキングより [1986年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] は付属していませんでした。
汚れがありますが致命的な損傷はなく、まあまあの状態です。
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リアパネルの端子類に白っぽいサビが出ています。
天板には白っぽく見える汚れが多いです。
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電源 ON して動作チェック
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電源は入り、[TUNING] ノブや操作ボタンは正常に反応します。
[REC CAL] ボタンでテスト音が出ます。
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ディスプレイ
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[NARROW] 表示など一部でややヤセがありますが、まだまだ十分実用になります。
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全体がややボンヤリしており、透明版の内側が汚れているような気がします。
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RCA 端子を揺すると音が途切れます。
ハンダクラックしていると思います。
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FM 受信
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S メータはフルに振れますが、T メータが一番右に貼り付いたままです。
FM 同調点検出がズレているか故障しているようです。
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このような状態でも音は出ますが、[STEREO] 表示は出ません。
これも FM 同調点検出不具合が原因と思います。
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オートチューニングでスキャンが止まりません。
これも FM 同調点検出不具合が原因と思います。
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] が付属していなかったので、右の写真の筆者が標準にしているループアンテナを接続してチェックしました。
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SONY ST-SA5ES などの大型ループアンテナです。
中古市場によく出ています。
横幅 28cm、高さ 12cm くらいのサイズです。
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このアンテナとの相性は良く S メータが振れて良好に受信できます。
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AM は問題ないようです。
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カバーを開けてチェック
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基板は綺麗で、目視で明らかに劣化とわかる部品はないです。
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メモリバックアップ用電気二重層コンデンサ [C178] はそろそろ寿命です。
交換したほうがよいです。
リペア (その1):T メータが一番右に貼り付いたまま
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調査と原因
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放送局の周波数に合わせた時に FM 同調点の TP10~TP11間電圧=3.8V もありました。
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この電圧の調整目標値は 0±10mV なので全然ダメです。
DET 基板の [L9] を調整しても 0V になりません。
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[L9] 内蔵のチタコンが容量抜けしており、これが原因です。
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修理
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左の写真で黄〇で囲んだ部品が [DET 基板] に実装された [L9] です。
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[DET 基板] はドータボードになっており、多くのピンが [メイン基板] に直接ハンダ付けされています。
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このため [DET 基板] を取り外すのは大変な手間がかかります。
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右の写真は取り外した [DET 基板] です。

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左の写真は [DET 基板] から取り外した [L9] で、右の写真は [L9] の裏側です。
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[L9] の裏側のチクワの形しているのがチタコンです。
真っ黒になって劣化しています。

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こうなると、もうこのチタコンは使えないので除去してから [L9] を [DET 基板] に戻しました。
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除去したチタコンの代わりに 30ppm/℃ 温度補償 C0G 積層セラミックコンデンサ 100pF を基板の裏側に取り付けました。
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黄色〇で囲んだ青い部品が積層セラミックコンデンサです。
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修理が終わった [DET 基板] を [メイン基板] に戻しました。
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修理後の動作チェック
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[L9] のコアを回すと正常に S カーブが出ました。
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放送局を受信すると、T メータがセンタになることを確認しました。
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[STEREO] 表示が出てオートチューニングもできるようになりました。
リペア (その2):[電気二重層コンデンサ] の交換
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概要
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電気二重層コンデンサでプリセットメモリの記憶をバックアップします。
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電気二重層コンデンサは経年劣化するので、最新の容量の大きいものと交換します。
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修理 (交換)
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下のリストのように部品交換しました。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C178 |
18mF/5.5V |
0.22F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
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左の写真は交換後で、黄〇で囲んだ部品です。
左の写真は交換前に実装されていた古い部品です。

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コメント
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電気二重層コンデンサは 18mF → 0.22F と12倍の容量になりました
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取扱説明書によるとメモリバックアップは1週間と書かれています。
(元の 18mF の時です。)
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容量が12倍になったので、計算上は12週間 (3ヶ月) バックアップできるはずですが ・・・
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実際には、電気二重層コンデンサの自己放電もあるので1ヶ月くらいでしょう。
リペア (その3):RCA 端子を新品に交換
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概要
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リアパネルにある [RCA 端子] に白いサビが出ており、またリードがハンダクラックしています。
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寸法的に互換性のある新品の [RCA 端子] の手持ち在庫があるので、サクッと交換しましょう。
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修理 (交換)
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左の写真の左側は基板から取り外したオリジナルの RCA 端子で、右側はこれから取り付ける新しい RCA 端子です。
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大きさやピンの並びなどに互換性があるのがわかると思います。
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右の写真は交換後で、RCA 端子を後ろから眺めた状態です。
白いプラスチックに黄ばみがなく新しいことがわかります。

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修理後の動作チェック
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新品なので当たり前ですが、プラグの挿入がスムーズで揺すっても音が途切れないことを確認しました。
リペア (その4):その他
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リアパネルの端子類に白っぽいサビが出ている
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簡易 F 端子を
ピカール液
でマイクロ研磨して新品同様のピカピカになりました。
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RCA 端子は新品に交換したので、当たり前ですがピカピカです。
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フロントパネルのクリーニング
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アルミ製フロントパネルを取り外し、プロ用のクリーナの
リンレイ new プロインパクト中性
で清掃し、かなりマシになりました。
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透明板の内側にはスス状の汚れが付いていました。
これを拭き取り、ディスプレイの表示コントラストが上がりました。
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天板のクリーニング
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取り外して中性洗剤でジャブジャブ水洗いしてかなりマシになりました。
白っぽくなっていた部分に少し黒色が戻りました。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| Q40-E |
+15V |
+14.9V |
+14.3V |
〇 |
| Q42-E |
-14V |
-13.5V |
-12.9V |
〇 |
| IC14-OUT |
+5V |
+5.6V |
+5.61V |
〇 |
| Q46-E |
+28V |
+28V |
+27.9V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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[L9] を修理したので同調点調整をやり直しました。
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フロントエンドの OSC トラッキングがややズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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フロントエンドの RF トラッキングがややズレていました。
再調整で感度が上がりました。
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PLL 検波で大きなズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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MPX VCO でやや周波数ズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整でステレオセパレーションと高調波歪率が大きく向上し、ハッとする素晴らしい音になりました。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
70 |
70 |
dB |
| NARROW |
66 |
61 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.0085 |
% |
| stereo |
0.0085 |
% |
| NARROW |
mono |
0.038 |
% |
| stereo |
0.038 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-84 |
-84 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
+0.02 |
dB |
| FM REC CAL 信号 |
WIDE |
mono |
398Hz |
Hz |
| -6.1 |
dB |
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AM 受信
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時は問題が多かったですが、全て修理でき新品時の性能に蘇りました。
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再調整後のステレオセパレーションや高調波歪率はこの機種のトップクラスにでき、当たりの個体でした。
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FM の音質はシャッキとした高音域が特長
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ハッとするような素晴らしくクリアな音
です。
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ソースの持つ質感や雰囲気をうまく表現します。
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AM の音質も良い
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でも、このような高級チューナで AM 聴く人いないような ・・・