KENWOOD KT-6050 (5号機) が到着
2025年12月16日、岡山県井原市の A さんより
KENWOOD KT-6050
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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3年前くらいにハードオフのジャンクコーナーで購入しました。
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FM は左右の音声セパレーションが下がっているように思います。
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AM は手持ちの他メーカーのアンテナを接続しても受信できず、故障しているようです。
修理お願いします。
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純正 AM アンテナは持っていないので、SONY ST-SA5ES の AM アンテナで調整お願いします。
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同調ノブが、カタカタとガタがあります。
可能ならスムーズに回るように修理お願いします。
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周波数表示がかなり暗くなっています。
表示プラスチック窓の内側を清掃して少しでも明るくなれば、ありがたいです。
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[参考] CATVで電波をひろい聞いています。
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80.0:NHK 岡山、80.5:FM 岡山、81.5:FM 広島、81.0:倉敷F M、82.0:備後 FM、83.0:緊急告知端末機用
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外観
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製造シリアル番号は [31100086] で、電源コードの製造マーキングより [1993年製造品] と判明しました。
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[純正 AM ループアンテナ] [リモコン] は添付されていませんでした。
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フロントパネルに手垢などの汚れが多いですが、致命的なキズなどはありません。
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右の写真のように [TUNING] ノブのアルミ製ノブトップが接着剥がれしています。
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修理依頼者の言う「同調ノブにカタカタとガタがある」の原因です。
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リアパネルは綺麗ですが端子類に白いサビが出ています。
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天板のビニコート鉄板にかなり汚れが多いですが、致命的なキズなどはありません。
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底板は脚も含めて問題ありません。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、操作ボタンの動作は正常です。
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FL 表示器の輝度はかなり落ちていますが、なんとか実用になります。
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FM 受信
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[STEREO] 表示が出て正常に受信できます。
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周波数ズレは感じません。
[S メータ] 表示を信じると感度も良好です。
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修理依頼者が「ステレオセパレーションが落ちている」と言われているので、現状値を測定しました。
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確かに落ちてはいますがボロボロという訳ではないです。
ステレオ感はあります。
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概ね、50dB 以上あれば合格、40dB 以上あれば実用範囲です。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
39 |
38 |
dB |
| NARROW |
34 |
37 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.074 |
% |
| stereo |
0.074 |
% |
| NARROW |
mono |
0.21 |
% |
| stereo |
0.22 |
% |
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AM 受信
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手持ちの [SONY ST-SA5ES 純正 AM ループアンテナ] を接続して確認しました。
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特に問題なく感度よく受信できました。
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修理依頼者は「AM は故障して受信できない」と言っていますが、違うようです。
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カバーを開けてチェック
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基板には薄っすらとしたスス状の汚れはありますが綺麗なほうです。
目視でわかる劣化部品は見当たりません。
リペア (その1):ハンダクラック予防補修
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概要
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今回、修理依頼者より「AM は故障して動作しない」と聞いていましたが、私のところでは何の問題もなく受信できました。
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1つの要因として [AM アンテナ] 端子のハンダクラックがあります。
この補修をするには基板を取り外す必要があって大変です。
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どうせ基板を取り外すのなら全面的にハンダクラック補修することにします。
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KT-6050 でハンダクラックが発生しやすい箇所
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リアパネルにある端子で [AM アンテナ] [RCA] [リモート] 端子のリードは基板に直接ハンダ付けされています。
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ここはリアパネルと基板の2方向から常にストレスがかかっているのでハンダクラックしやすいです。
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[FM アンテナ] 端子はワイヤ接続なのでハンダクラックしません。
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左の写真は [AM アンテナ] 端子で、右の写真は [RCA] 端子です。

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左の写真は [リモート] 端子で、右の写真は放熱器付きパワートランジスタです。
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放熱器付きパワートランジスタのリードは自身の熱でハンダが劣化しやすくクラックするのです。

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修理 (補修)
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上記で説明した箇所のハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
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コメント
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[AM アンテナ] 端子はクラックしておらず正常でした。
やはり AM 受信は故障していないです。
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[修理依頼者の AM ループアンテナの不具合] か [アンテナ接続の時にケーブルの被覆部分を挟み込んだ] と思います。
リペア (その2):その他
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[TUNING] ノブの補修
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接着が剥がれたアルミ製ノブトップを G17 ボンドで再接着しました。
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リアパネルの端子類に白いサビが出ている
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[RCA] [FM アンテナ] 端子を
ピカール液
でマイクロ研磨しました。
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[RCA] 端子は新品のようなピカピカに蘇りました。
気持ちイイです。
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[FM アンテナ] 端子はネジの谷の部分を研磨できないので、ややマシな程度になりました。
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フロントパネル内外の清掃
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フロントパネルのアルミ板を取り外して中性洗剤でジャブジャブ水洗いして、かなり綺麗になりました。
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特にディスプレイ用の透明板の内側に真っ黒なススがこびりついていました。
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ススを除去したらディスプレイがかなり見やすくなりました。
見やすくなっただけで輝度低下が直った訳ではありません。
念のため。
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天板の清掃
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天板を取り外して中性洗剤でジャブジャブ水洗いして、少しマシになりました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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以下のように良好でした。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| Q88-E |
+27V |
+28.8V |
〇 |
| Q92-E |
+15V |
+15.0V |
〇 |
| Q98-E |
-15V |
-14.1V |
〇 |
| IC30-OUT |
+5.6V |
+5.61V |
〇 |
| Q100-E |
-33.5V |
-33.2V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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FM 同調点電圧が TP1~TP2 間で 0.5V と、周波数ズレをおこす寸前までズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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FM フロントエンドで OSC トラッキングがズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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FM フロントエンドで RF トラッキングがズレていました。
再調整で感度が大きく上がりました。
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PLL 検波の調整が大きくズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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DCC 調整にて、高調波歪率が大きく下がりました。
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セパレーション調整にて、ステレオセパレーションが大きく上がりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
62 |
64 |
dB |
| NARROW |
60 |
60 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.011 |
% |
| stereo |
0.017 |
% |
| NARROW |
mono |
0.14 |
% |
| stereo |
0.16 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-84 |
-82 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
-0.10 |
dB |
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AM 受信部
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、[SONY ST-SA5ES AM ループアンテナ] で最高感度になるように調整しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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KT-6050 はやはり性能も音質も良いです。
残念なのはコストダウンでディスプレイが劣化しやすいことです。
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本機も表示器の輝度が大きく下がっていました。
残念です。
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リモコン [RC-T0600] は添付されていませんでしたが、
みんなのリモコン・データベース
にリモコンコードを登録してあります。
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KT-6050 はリモコンがないとフル操作できない機種です。
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ワイド FM 対応クリコン
でのワイド FM 受信も良好でした。
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KT-6050 はアンテナ端子が2つあるので、ワイド FM 受信に便利です。
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デザイン
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フロンパネルはカーブが付けられたアルミ・ヘアラインです。
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FM アンテナ F 端子が2個あります。
アンテナを2系統から選択できます。
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残念ながら、ボタン操作は硬く、プラスチックで感触はイマイチです。
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プリセットメモリは39局分もあり、使い切れません。
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留守録用のプログラムメモリは3局分あります。
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[ACTIVE RECEPTION] 機能
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[RF ATT] [IF BAND] [MODE (AUTO/HI-BLEND/MONO)] を受信状態に合わせて、MCU が自動的に切り換えてくれます。
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面白い機能ですが、MCU が状況判断するのに2秒くらい掛かります。
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受信性能と音質
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FM フロントエンドは5連バリコン相当で、高感度で妨害電波排除能力にも優れ、高性能です。
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KENWOOD らしいカチッとした音質で、良い音です。
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AM は高音まで気持ち良く出ます。
良い音です。