Pioneer F-777 (4号機) が到着
2025年11月10日、大阪市旭区の A さんより
Pioneer F-777
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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今年10月にメルカリにて購入した当初は、ディスプレイは正常に表示していました。
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ところが、1週間ほどして時々ディスプレイが消えるようになりました。
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そして、次第にディスプレイが消える時間が長くなり操作に困っています。
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外観
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製造シリアル番号は [QJ1004682S] で、電源コードの製造マーキングより [1996年製造品] と判明しました。
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[リモコン] の添付はありましたが、[純正 AM ループアンテナ] の添付はありませんでした。
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フロントパネルは綺麗ですが、[CLASS] ボタンが下の写真のように別物に交換されています。
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ボタンの先端をそっと引き出してみるとワイヤ状のもので結合されています。
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機能的には問題なく操作できるので
触らぬ神に祟りなし
です。

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[TUNING] ノブは固着していて回りません。
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リアパネルは綺麗で、端子類にも輝きがあり、特に問題なく良好です。
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天板の左から1/5くらいの所がかなりヘコんでいます。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、十分な輝度でディスプレイ (FLD) が表示され、ボタンは正常に反応します。
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しばらく通電していたら FLD の表示が消え真っ暗になりました。
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こうなった時に筐体を叩くと FLD の表示が復活します。
そしてまたしばらくして表示が消えます。
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FLD リードのハンダクラックで接触不良になっているような感じです。
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FM 受信
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-0.1MHz の周波数ズレがあります。
80.0MHz の放送を 79.9MHz で受信します。
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周波数ズレした箇所で問題なく受信でき、ステレオにもなり、音も良いです。
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] が付属していなかったので、右の写真の筆者が標準にしているループアンテナを接続してチェックしました。
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SONY ST-SA5ES などの大型ループアンテナです。
中古市場によく出ています。
横幅 28cm、高さ 12cm くらいのサイズです。
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このアンテナとの相性は良く S メータが振れて良好に受信できます。
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AM は特に問題ないようです。
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カバーを開けてチェック
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内部は非常に綺麗で、基板には目視で明らかに劣化とわかる部品は見当たりませんでした。
リペア (その1):[TUNING] ノブが固着していて回らない
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原因
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ノブ軸に塗布されたグリスのオイル成分が揮発して固着しているのです。
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修理
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まずは無水アルコールをノブ軸に注入して固着状態のグリスを適度に溶かしました。
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次にマシンオイルをノブ軸に少量注入して揮発したオイル成分を補いました。
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修理後の動作チェック
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まず、硬くて全然回せなかった [TUNING] ノブが軽く回るようになりました。
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[TUNING] ノブの回転に合わせ良好に周波数表示が変化します。
直りました!
リペア (その2):FLD の表示が消える
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概要
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シンセサイザ式チューナではディスプレイ (FLD) に全ての状態が表示されています。
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ユーザはこれを見てチューナの状態を把握するので、真っ暗になると状態がわからなくなります。
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調査と原因
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FLD が真っ暗になった時にフロントパネルの辺りを叩くと表示が復活することより、どこかのハンダクラックが要因です。
表示の一部の欠けではなく全部が消えることから、FLD のフィラメントのリードのハンダクラックが一番臭いです。
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下の写真はフロントパネルを外して基板の裏側を見たもので、黄□で囲んだ部分が FLD のリードです。
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FLD のフィラメントのリードをルーペで観察したところハンダ付け部分に亀裂がありました。
これが原因です。

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修理
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FLD のフィラメントのリードはステンレス鋼板になっており、そもそもハンダの乗りが悪くハンダクラックしやすいです。
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写真で黄□で囲んだリードを全部補修ハンダ付けしました。
全部で92箇所あり、かつリード間が狭く細かい作業です。
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修理後の動作チェック
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ディスプレイ (FLD) の表示欠けなどはなく良好に表示することを確認しました。
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フロントパネルの辺りをハンマリング試験しても表示が消えることがなく良好なることを確認しました。
リペア (その3):FM 受信で -0.1MHz の周波数ズレがある
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原因
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経年変化で FM 同調点がズレたのが原因です。
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FM 同調点電圧の TP201~TP202 間電圧を測ると 950mV ありました。
ここの規定値は 0±100mV です。
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修理
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後述の [再調整] で FM 同調点電圧を調整して直りました。
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修理後の動作チェック
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放送局の正しい周波数で [STEREO] 表示が出て正常に受信できることを確認しました。
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AUTO TUNING で正しい周波数で停止することを確認しました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好です
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| TP703 |
+13V |
+13.0V |
〇 |
アナログ系 |
| TP709 |
+26V |
+24.5V |
〇 |
VT |
| TP801 |
+5V |
+4.97V |
〇 |
デジタル系 |
| D722-A |
-8.8V |
-10.3V |
〇 |
FL |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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クォードラチュア検波で大きなズレと同調点ズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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MPX に大きな調整ズレがあり、再調整でステレオセパレーションが大きく上がり音の解像度が向上しました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
NORMAL |
stereo |
59 |
56 |
dB |
| SUPER NARROW |
40 |
41 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
NORMAL |
mono |
0.044 |
% |
| stereo |
0.044 |
% |
| SUPER NARROW |
mono |
0.19 |
% |
| stereo |
0.19 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
NORMAL |
stereo |
-75 |
-71 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
NORMAL |
mono |
0 |
+0.10 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、IF 調整だけとしました。
元々良好だったので、これで十分でしょう。
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到着時より受信良好だったのでこれでよいかと。
どうせ
2028年で AM 放送はほぼ消滅
します。
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AM 放送が消滅しても
周波数コンバータ
を製作すれば、FM に移行した AM 放送が
ワイド FM
で受信できます。
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特に F-777 はアンテナ入力が2つあるので、1つをワイド FM 用にすると便利です。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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ディスプレイが真っ暗になるとのことで深刻な故障か心配しましたが、直せて良かったです。
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固着して回せなかった [TUNING] ノブも復活させることができました。
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リモコンが添付されていたので、リモコンからも操作良好でした。
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再調整後の本機は解像度感のあるとても良い音になりました。
聴いていると癒されます。
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デザイン
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フロントパネルはゴールドのヘアライン処理アルミで好みです。
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チューニングノブはアルミ材で質感が良いです。
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サイド飾りがあって、高級感をやや醸し出しています。
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FM 受信
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感度も妨害電波排除能力も問題ありません。
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クォードラチュア検波特有のソフトな音ですが、十分な高音質です。
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AM 受信
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感度は良いです。
ループアンテナでしっかり入感します。
音質は良いです。