TRiO KT-1100 (8号機) をゲット!
2025年7月22日、静岡県浜松市の O さんより
TRiO KT-1100
を研究用に寄贈いただきました。
パルスカウント検波
が特長のチューナです。
程度&動作チェック
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寄贈者のコメント
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近所のリサイクルショップで購入しました。
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電源は入り、シグナル、チューニングメーターの照明は点灯しますがダイヤルスケールの指針の LED は点灯しません。
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受信はできますが感度がかなり低下していてステレオでは受信出来ません。
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外観
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製造シリアル番号は [39K10367] で、
KT-1100 (7号機)
と非常に近いです。
こういう偶然もあるんだ!
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電源コードの製造マーキングより [1983年製造品] とわかりました。
[純正 AM ループアンテナ] が付属していました。
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汚れや細かいキズ等はありますがヘコミやワレといった致命的なものはなく、クリーングすれば並みの中古状態にできそうです。
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天板には線状のスレが数本ありますが、ラックに入れると見えない部分です。
ワックス掛けするとマシにはなると思います。
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リアパネルの [簡易 F 端子] [RCA 端子] に緑青サビが出ています。
[AM アンテナ端子] のワッシャに赤サビが出ています。
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周波数ダイヤル板が 3~4mm ほど下側にズレており指針が完全に見えません。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、メータ照明ランプ切れはありません。
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寄贈者によると「指針の LED は点灯しない」とのことですが・・・
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指針を下から覗くと赤色に点灯していました。
すなわち、周波数ダイヤル板がズリ下り指針が見えないだけのようです。
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指針は LED なので切れたとなると修理が厄介だなと思っていましたが、ホッとしました。
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FM 受信
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到着後の初回電源 ON では特に問題なく受信できました。
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各スイッチやボリュームは動作します。
[FM REC CAL] ボタン ON で正常にテスト音が出ます。
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FM 放送を受信すると [S メータ] [T メータ] が正常に振れ、[STEREO] ランプも点灯しました。
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サーボロック動作は正常で [SERVO LOCK] ランプも点灯しました。
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-0.7~-0.5MHz 程度の周波数ズレ (89.7MHz の放送が 89.0MHz で受信) があります。
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オーディオ出力の固定端子 (RCA 端子) に接続したプラグを揺すると音が途切れます。
ハンダクラックしています。
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通電したままにしておいたら、通電後10分くらいでバリバリという雑音だけになりました。
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この時、[S メータ] [T メータ] は正常で [STEREO] ランプが点滅していました。
どこか故障しています。
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AM 受信
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カバーを開けてチェック
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内部はかなり綺麗で状態はすこぶる良いです。
基板には目視で明らかに劣化とわかる部品はないです。
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この機種でよくあるバリコンギア機構のプーリー軸外れがなく、バリコン羽の状態が良くピカッと光っています。
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バリコン軸に緑青サビが出ています。
これは直さないといけないです。
リペア (その1):周波数ダイヤル板脱落の補修
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原因
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周波数ダイヤル板は両面粘着テープで貼り付けられています。
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この両面粘着テープが経年変化で溶け出して周波数ダイヤル板がズレ落ちたのが原因です。
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修理
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周波数ダイヤル板を取り外し、古い両面粘着テープを除去してから粘着跡を無水アルコールで洗浄しました。
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新しく「布にも使える強力両面粘着テープ」で貼り直しました。
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左の写真は補修前で、黄色寸法線で示した分 (3~4mm) 周波数ダイヤル板がズレ落ちていました。
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右の写真は補修後で、赤い指針がクッキリ見えるようになりました。
指針が見えるチューナって素敵!!!

リペア (その2):バリコン軸に緑青サビが出ている
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サビは絶縁物なので接触不良となり、以下の現象が出ます
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周波数の低い辺りで指針を動かすとゴソゴソという雑音が出る。
感度が落ちたり、受信が不安定になったりする。
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以下のようにバリコン軸の接触回復作業をしました
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エレクトロニッククリーナ
を軸受けに噴射し何度もバリコン羽を動かすと緑青サビが湧き出てきます。
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湧き出た緑青サビを 爪楊枝/歯間ブラシ/歯間糸楊枝 を使って丹念に落とします。
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[1] と [2] を何度も何度も繰り返します。
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接点復活スプレー
を軸受けに少量吹きかけ馴染ませます。
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仕上げに、軸受けにリチウムグリスを塗布して防錆処置します。
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作業の様子
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左の写真は作業前で、バリコン軸と軸受プレートに緑青サビが出ています。
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右の写真は作業中で、まだ左端のバリコン羽のサビを落としただけでこんなにもサビがボロボロ落ちました。
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全ての軸受にこの作業をして大量の緑青サビが除去でき、結構手間がかかりましたが回復しました。

リペア (その3):リアパネルの端子類に緑青サビが出ている
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下の左の写真は補修前の [RCA 端子] です
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[MULTIPATH] [FIXED] 端子にビッシリ緑青サビが出ています。
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[VALIABLE] 端子には輝きがあります。
これまでここにプラグを差して使っていたからと思います。
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この状態でプラグを抜き差しするとプラグが壊れます。
このため試験に支障があります。
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サビ落とし作業
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ピカール液
を使ってマイクロ研磨してサビを落とすと下の右の写真のように輝きが戻りました。

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防錆処置として、[RCA 端子] に
CRC5-56
を僅かに塗布しました。
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更に [RCA 端子] に防塵キャップを被せました。
空気に直接触れることがなくなるのでサビを防止できます。
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[簡易 F 端子] も同様にピカール液でマイクロ研磨して輝きが戻りました。
リペア (その4):-0.7~-0.5MHz 程度の周波数ズレがある
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調査と原因
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FM フロントエンドの OSC トリマコンデンサを回してみたら周波数ズレは一応直りました。
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しかし、OSC トリマコンデンサを軽くコツンと叩くだけで同調がズレます。
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OSC トリマコンデンサが故障しています。
これが原因です。
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修理
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OSC トリマコンデンサはフロントエンド基板に実装されています。
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正式にはフロントエンドを基板から取り外してトリマコンデンサを交換することになります。
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フロントエンドを取り外すと糸掛け機構もバラバラになります。
かなりの大仕事!
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そこで以下の方法としました。
この方法のほうが圧倒的に楽です。
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左の写真で黄〇で囲んだ部品が故障している OSC トリマコンデンサです。
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この OSC トリマコンデンサをロングノーズプライヤで毟り取りました。
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右の写真は新しく外付けした 10pF セラミックトリマコンデンサです。
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電気的には OSC トリマコンデンサ交換と同じです。

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修理後の動作確認
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交換した OSC トリマコンデンサを再調整して安定に受信でき、放送局の周波数と指針が示す周波数はほぼ合います。
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[S メータ] は 90% 程度の振れになり、感度落ちがない程度まで性能が戻りました。
リペア (その5):オーディオ出力の RCA 端子でハンダクラックしている
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ハンダクラックしやすい箇所
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左の写真は RCA 端子裏側で、リードが直接基板にハンダ付けされています。
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このハンダ付け部分にはリアパネルと基板の2方向から常にストレスが掛かっているのでハンダクラックしやすいです。
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右の写真は放熱器が取り付けられたパワートランジタで、リードが直接基板にハンダ付けされています。
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このハンダ付け部分には放熱器と基板の2方向からストレスが掛かるのでハンダクラックしやすいです。

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修理
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修理後の動作確認
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RCA 端子に挿入したプラグを揺すっても音が途切れることはありません。
直りました。
リペア (その6):通電後10分くらいでバリバリという雑音だけになる
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概要
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ここまでの修理後にこの現象は発生していなかったので直ったのかもと思っていました。
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雑音発生の原因として [バリコン軸の接触不良] [OSC トリマコンデンサ故障] も考えられるのです。
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カバーを取り付けてロングランしていたところ、1時間くらい経った頃、バリバリ雑音が再発しました。
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[S メータ] [T メータ] は正常で [STEREO] ランプが点滅という到着時に確認した現象と全く同じです。
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どうやらカバーを取り付けたことにより内部温度上昇すると再発するようです。
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現象が出ている時にカバーを外したら、しばらくして雑音が消えました。
要因の温度上昇は当たりのようです。
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原因を特定する
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雑音が出る時に [S メータ] [T メータ] は正常で [STEREO] ランプが点滅という状況から考えられることは以下です。
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[S メータ] [T メータ] は正常ということは [FM フロントエンド] [IF 増幅部] までは正常です。
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おそらくパルスカウント検波周りの故障です。
これであれば [STEREO] ランプが点滅と辻褄が合います。
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パルスカウント検波周りで雑音が出る可能性があるのは、左の写真の [L6] [L10] [L20] のどれかです。
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[L6] は 2nd OSC 同調コイルで、8.74MHz で発振します。
[1st IF 10.7MHz] - 8.74MHz = [2nd IF 1.96MHz]
となるのです。
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[L20] は 2nd IF (1.96MHz) の BPF です。
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[L10] はパルスカウント検波後の BBF (アンチバーディフィルタ) です。
(BBF = Birdy Beat Filter か?、確信なし)
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[L10] [L20] の故障であればバリバリ雑音と一緒に放送音は聴こえるはずです。
今回は放送音は聴こえませんでした。
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こうなると [L6] が一番怪しいです。
[L6] が異常発振するとバリバリ雑音だけで放送音は聴こえません。
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この推論が正しいか実験してみました。
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バリバリ雑音が出ていない時に [L6] だけをヒートガンで温めてみると、バリバリ雑音が再現しました。
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オシロスコープで 2nd IF 波形を見てみると、正常音が出る時でも波高値がかなり低いです。
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[L6] の故障で間違いないです。
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右の写真は基板から取り外した [L6] です。

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取り外した [L6] をチェック
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左の写真は [L6] の裏側で、チクワの形をしたチタコンが真っ黒になっています。
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黒ずみは
マイグレーション
です。
金属カビのようなもので、チタコンの両端をレアショートさせます。
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マイグレーションによるレアショートは不安定で、ちょっと振動を与えただけでも直ってしまうことがあります。
そしてまた、しばらくして現象発生します。

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修理
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[L6] から故障 (劣化) していると思われるチタコンを除去してから基板に戻しました。
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チタコンの代わりに 30ppm 温度補償積層セラミックコンデンサ 100pF を、基板の裏側で [L6] に取り付けました。
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上の右の写真が取り付け状態で、青色のコンデンサです。
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修理後の動作確認
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[L6] を調整して [2nd IF 周波数 = 1.96MHz] にして雑音のない綺麗な音が出ることを確認しました。
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この状態で [L6] をヒートガンで温めてもバリバリ雑音は出ません。
完全に直りました!!!
リペア (その7):外観などのクリーニングや補修
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フロントパネル
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フロントパネルを取り外して作業しました。
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文字のない部分は無水アルコールで、文字がある部分は
リンレイ NEW プロインパクト中性
でクリーニングしました。
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パネル下側の底板への折り返し部分に僅かなアルマイトハゲがありました。
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ここは正面から見えない部分ですが、念のためタッチアップペン黒で補修塗りしました。
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元々フロントパネルに汚れはありましたがキズはなかったので、かなり綺麗になりました。
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リアパネル
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天板
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リンレイ NEW プロインパクト中性
でクリーニングしてから
ジャパンワックス
仕上げしました。
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ピカッとした艶が出て状態がかなり改善しました。
小さなスレは消え、大きなスレは薄くなりました。
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スレが無くなった訳ではなく、目立たなくなったのでマシになったということです。
交換前に基板に実装されていた部品の記念撮影
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右の写真は故障により取り外した古い部品です。
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左から [トリマコンデンサ] [チタコン] です。
いずれも小さい部品です。
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[トリマコンデンサ] はむしり取ったので破壊されていますが、写真から見える裏側のハトメ部分が接触不良になって故障したのです。
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いずれも交換部品代はしれているのですが、故障部品を特定するのが大変なのです。
論理的な洞察力と経験が必要です。
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故障した部品達、今までご苦労さまでした。
再調整
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電圧チェック (VP)
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以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
| Q19-E |
+13V |
+13.1V |
〇 |
| Q20-E |
-13V |
-13.0V |
〇 |
| Q23-E |
+7V |
+7.29V |
〇 |
| Q24-E |
-7V |
-7.31V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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[OSC トリマコンデンサ] を交換したのでトラッキング調整をやり直しました。
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指針の示す 76~87MHz で ±0.1MHz 以内、88~90MHz で ±0.2MHz 以内の誤差になりました。
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ここはこの個体のバリコン精度に依存するので、これ以上良くなりません。
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[L6] のチタコンを交換したので 2nd IF 周波数調整をやり直しました。
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FM ステレオセパレーションや高調波歪率などは以下の通りで素晴らしい性能です。
当たりの個体!!!
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IF BAND = WIDE/NARROW で高調波歪率が1桁違うので、できるだけ WIDE で使ったほうが良いです。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
70 |
70 |
dB |
| NARROW |
51 |
53 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.017 |
% |
| stereo |
0.017 |
% |
| NARROW |
mono |
0.26 |
% |
| stereo |
0.26 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-91 |
-87 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
-0.14 |
dB |
| FM REC CAL 信号 |
WIDE |
mono |
422 |
Hz |
| -5.9 |
dB |
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AM 受信
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付属していた [純正 AM ループアンテナ] で最高感度になるように調整しました。
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本機は AM 3連バリコン式のため、さすが感度が良いです。
音も良いです。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時は汚れはありましたがキズ等はほぼ皆無だったことが幸いし、外観は並みの中古状態に蘇りました。
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修理&再調整で新品時の性能に蘇りました。
パルスカウント検波の非常に良い音になりました。
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動作良好で満足して使える状態に戻せてよかったです。
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デザイン
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ブラックの KT-1100 は
L-03T
とそっくりです。
言わなければ12万円に見える?
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前者はパルスカウント検波、後者は PLL 検波と、どちらも高音質モデルです。
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デザインが巧妙で高級感があります。
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フロントパネルはアルミヘアライン仕上げです。
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チューニングノブは直径 46mm の無垢アルミです。
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ダイヤルスケールは正面を向いており照明はありません。
ダイヤル指針が赤い LED 表示で見易く精密感があります。
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感度や音質
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FM の感度は良く、TRiO らしい高解像度でカチッとした高音質です。
やはり、パルスカウント検波の音は良いです。
別格です。
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AM は高感度で S/N が高いです。
WIDE/NARROW 切り換えが有効で、WIDE 時はかなり高音が出て高音質です。