Victor FX-711 (15号機) が到着
2026年6月16日、神奈川県川崎市の F さんより、
Victor FX-711
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [15405950] で、電源コードの製造マーキングより [1989年製造品] と判明しました。
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[純正 AM ループアンテナ] は添付されていました。
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全体的にはかなり綺麗で大きな問題はありません。
RCA 端子に少しサビが出ています。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく ON できました。
FL 表示管の輝度は新品同様です。
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操作ボタンは正常に反応します。
[REC CAL] ボタンで正常なテスト音が出ます。
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プリセットメモリの情報は消えずに残っていたので、バックアップ用の電気二重層コンデンサの交換はしなくてよいと思います。
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FM 受信
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AUTO TUNING で放送局の正しい周波数で停止します。
周波数ズレはないようです。
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[STEREO] 表示が出て受信できましたが問題があります。
S メータが 36dB 程度で感度落ちしています。
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通電して5分後くらいから「バチッという強烈な雑音」「ザリザリという雑音」が不定期に入るようになりました。
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これが修理依頼者のいう「バリバリという雑音」と思います。
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雑音が出るタイミングで S メータがゼロになったりするので、アンテナ入力~検波 での故障と思います。
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AM 受信
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AM ループアンテナが添付されなかったので、右の写真の筆者が標準にしているループアンテナを接続してチェックしました。
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SONY ST-SA5ES などの大型ループアンテナです。
中古市場によく出ています。
横幅 28cm、高さ 12cm くらいのサイズです。
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このアンテナとの相性は良く、良好に受信できました。
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カバーを開けてチェック
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内部はは非常に綺麗です。
目視で明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
リペア (その1):FM 受信で「バチッ」「ザリザリ」という雑音が不定期に入る
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調査と原因
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雑音が出るタイミングで S メータがゼロになるので、[アンテナ入力]~[検波より前] の故障です。
要は高周波系の故障ということ。
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一番怪しい FM フロントエンドの [OSC トリマコンデンサ] を絶縁棒で軽く叩くと雑音が出ます。
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[OSC トリマコンデンサ] の故障確定です。
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修理
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[OSC トリマコンデンサ] を交換して直りました。
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「リペア (その2):FM 感度落ちしている」と一緒に作業したので、そちらの記事を参照ください。
リペア (その2):FM 感度落ちしている
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調査と原因
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放送を受信しながら FM フロントエンドの [RF トリマコンデンサ]×4個 を回してみると不安定ながら S メータ値が上がりました。
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原因は [RF トリマコンデンサ]×4個 の劣化です。
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修理
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[RF トリマコンデンサ]×4個+[OSC トリマコンデンサ]=合計5個 のトリマコンデサを交換して直りました。
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左の写真は交換後で、赤〇で囲んだのは [RF トリマコンデンサ]、黄〇で囲んだのは [OSC トリマコンデンサ] です。
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10pF セラミック型トリマコンデンサを使いました。
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右の写真は交換前に基板に実装されていた故障したトリマコンデンサです。

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修理後の動作チェック
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交換後にトリマコンデンサを調整して、感度が大きく上がり、ザイザリ雑音が出ないことをました。
リペア (その3):ハンダクラック予防補修
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FX-711 でハンダクラックしやすい箇所
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左の写真のように [OUTPUT] [AM ANT] [FM ANT] 端子のリードは基板にハンダ付けされています。
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これらのリードにはリアパネルと基板からの2方向からストレスを受けるので、ハンダクラックしやすいです。
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右の写真のように放熱器が付いたパワートランジスタのリードは基板にハンダ付けされています。
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自身の発熱がハンダに伝わるのでハンダが劣化し、ハンダクラックしやすいです。

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修理 (予防補修)
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上で解説したハンダ付け部分を補修ハンダ付けしました。
これで更に10年は大丈夫です。
リペア (その4):その他
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リアパネルの RCA 端子にサビが出ている
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ピカール液
でマイクロ研磨して輝きが蘇り、かなりマシになりました。
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FM ANT B も同様にマイクロ研磨して少しマジになりました。
F 端子にはネジ溝があって、ここが研磨できない。
再調整
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電圧チェック (VP)
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以下のように実測値は全て良好です。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| チューナ基板 |
W305 (Q801-E) |
+30V |
+28.7V |
〇 |
VT 電源 |
| W116 (Q803-E) |
+12V |
+11.9V |
〇 |
チューナ電源 オーディオ電源 |
| W113 (Q808-E) |
-12V |
-12.8V |
〇 |
| W307 (Q805-E) |
+5V |
+5.05V |
〇 |
ロジック電源 |
| 電源基板 |
J705-3pin |
+5.6V |
+5.63V |
〇 |
MCU 電源 |
| J705-5pin |
-35V |
-34.5V |
〇 |
FL 電源 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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FM フロントエンドのトリマコンデンサを全数交換したのでトラッキング調整をやり直しました。
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感度が大幅に上がって FX-711 本来の感度に蘇りました。
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もちろん、バリバリなどの雑音は出なくなりました。
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PLL 検波 NULL 電圧が 260mV と大きいズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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S メータを校正したので、30~90dBuV はほぼ正しく表示します。
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再調整で以下の優秀な性能が出ました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
58 |
61 |
dB |
| NARROW |
28 |
27 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.017 |
% |
| stereo |
0.055 |
% |
| NARROW |
mono |
0.14 |
% |
| stereo |
0.23 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-50 |
-49 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
+0.02 |
dB |
| REC CAL |
WIDE |
mono |
445 |
Hz |
| -6.0 |
dB |
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AM 受信
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[AM ループアンテナ] の添付がなかったので、IF 調整だけ実施しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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綺麗な個体で、内部の基板も綺麗だったので、スムーズに作業できました。
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再調整でステレオセパレーションも高調波歪率も良好になり、とても良い音になりました。
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ワイド FM 対応クリコン
を使ったワイド FM 受信も良好でした。
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FX-711 は Victor 最頂点のチューナ
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5連バリキャップで高周波系の性能が良く、しかも音が良いです。
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鳶のビクターが鷹の本機を生んだかのような奇跡の高性能チューナです。
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SONY ST-S333ES シリーズを越えているかもしれない。
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FM 受信
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感度が良く、受信レベルが dB で表示でき、しかも正確です。
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聴いた瞬間に高音質と判る良い音
、素敵です。
聴き惚れます。
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PLL 検波らしい、スッキリした解像度感のある音です。
細かい音が綺麗に出る繊細な音です。
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本機の FM 受信時 S メータの dB 表示はかなり正確です。
30~90dB の表示範囲は信じてよいです。
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AM 受信
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感度はかなり高く、S/N も良いです。
音質は AM としては普通レベルです。
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本機のような FM が超高音質のチューナで、ナロー音質の AM をわざわざ楽しむ人はいないと思う。