MPLAB X IDE v3.55
2025年2月6日、PIC16F886 プログラム開発用のパソコンが故障しました。
幸い開発したプログラムソースは残っています。
という訳で、別のパソコンに新たに [MPLAB X IDE v3.55] をインストールして PIC16F886 プログラム開発環境が復活しました。
[MPLAB X IDE v3.55] のインストール&設定方法を忘れないよう記録に残します。
[PIC16F886 プログラムを MPASM で開発] [ソースコードやその出力は NAS のネットワークドライブに収納] に特化した記事になっています。
概要 ・・・ なぜ今更 MPLAB X IDE v3.55 ???
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2025年2月6日、
PIC16F886 プログラム開発用のパソコン
が故障!!!
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どうも電源が壊れたようで、[Power] ボタンを押しても電源が入りません。
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幸い開発したプログラムソースは
NAS
にあって自動バックアップもしているので無事です。
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この状況では2つの対処法が考えられる
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1つは故障したパソコンを修理する。
ただし、購入後9年が経っており廃棄寸前なので、これ以上投資する価値がない。
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もう1つは別のパソコンに開発環境を構築する。
こちらのほうが時間的にも金銭的にもベター、今回はこれにしました。
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これまでは PIC プログラム開発に [MPLAB X IDE v5.35] を使っていた
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このバージョンは非常に重いのです。
立ち上げにも時間がかかります。
プログラムサイズも 8GB を超えます。
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この際だからバージョンを下げてもっと軽くしたいと思い、行き着いたのが v3.55 だったという訳です。
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プログラムサイズは 1GB くらいで立ち上がりは速いです。
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目的は PIC16F886 のアセンブラソースをコンパイルすることなので、これで十分でした。
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ちなみにアセンブラ MPASM を使う前提では v5.35 が最新
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IDE の v5.40 以降には MPASM が入っていません。
これでは筆者が困ります。
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IPE の v5.35 以降では PICkit3 に対する電源供給設定ができなくなって外部電源が必要になりました。
これでは筆者が困ります。
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IDE の v5.30 では海賊版の
[ANBE PICkit3]
[Shengshou PICkit3]
をなぜか?認識しません。
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IDE の v5.35 では正常に認識するので何が悪いのか不明です。
筆者だけの問題か?
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従って [IDE v5.35] [IPE v5.30] が筆者にとっての最新版ということになります。
IDE / IPE は別々のバージョンをインストール可能。
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[IDE v3.55] [IPE v3.55] は上記のような制限がなく軽くキビキビ動作します。
MPLAB X IDE v3.55 のインストール
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MPLAB X IDE
のページにある
Go to Downloads Archive
より
[MPLABX-v3.55-windows-installer.exe]
をダウンロードします。
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[MPLABX-v3.55-windows-installer.exe] を実行するとインストールされます。
選択項目は全てデフォールトでよいです。
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完了するとデスクトップに [MPLAB X IDE v3.55] [MPLAB IPE v3.55] [MPLAB driver switcher] アイコンができます。
MPLAB X IDE v3.55 の設定
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準備
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[PICkit3] をパソコンに接続してから、[MPLAB X IDE v3.55] アイコンをダブルクリックして立ち上げます。
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プロジェクトを作成
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MPLAB X IDE 画面の [File]→[New Project] を選択します。
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Choose Project で [Standalone Project] を選択して [Next >] をクリック

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Select Device で [PIC16F866] を選択して [Next >] をクリック

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Select Tool で [PICkit3] を選択して [Next >] をクリック

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Select Compiler で [mpasm] を選択して [Next >] をクリック

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Select Project Name and Folder で、①にプロジェクト名、②にプロジェクトフォルダ、③は [Shift_JIS] を選択して [Fnish] をクリック
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①は覚えやすい任意の名称でよいです。
筆者の場合、[NiceRemo] としました。
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筆者の場合、NAS に開発データを保存したいので、②にはネットワークドライブ (Y:) を指定しました。
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筆者の設定では [Y:\IR-IM\PIC16886_source\NiceRemo.X] がプロジュクトフォルダになりました。
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筆者のアセンブラソースには日本語のコメントが入っているので、③に [Shift_JIS] を選択しました。

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アセンブラソース (.asm) を指定
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NiceRemo プロジェクトの [Source Files] を右クリック、[Add Existing Item] を選択してアセンブラソース (.asm) を指定します。

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ここまでで、アセンブラソースをコンパイルできる状態になりました。
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PICkit3 を使えるようにする
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書き込みするには PIC に VDD が供給されている必要があります。
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PICkit3 から PIC デバイスに VDD を供給する設定をします。
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設定しないと
Target device was not found (could not detect target voltage VDD).
エラーとなります。
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PICkit3 から VDD 供給する手順は以下です。
一度設定すれば記憶してくれるので、次回からはこの手順が不要です。
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[Run]→[Set Project Configuration]→[Customize] を選択すると [Project Properties] ウィンドウが表示されます。
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左側の [Categories] の [PICkit 3] をクリックしてから、[Option categories:] で [Power] を選択します。
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画面の [Power target Circuit from PICkit3] にチェックを入れ、[Apply]→[OK] をクリックします。

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ここまでで、PIC16F886 に書き込みできる状態になりました。
MPLAB IPE v3.55 の設定
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準備
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[PICkit3] をパソコンに接続してから、[MPLAB IPE v3.55] アイコンをダブルクリックして立ち上げます。
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[Device] [Tool] [Source] の指定
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①で [PIC16F886] を選択して②の [Apply] をクリックします。
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③で [PICkit3] を選択して④の [Connect] をクリックします。
下の例では [Disconnect] になっていますが、元は [Connect] です。
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⑤で PIC16F886 に書き込むヘキサファイル (.hex) を指定します。
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IDE で生成した HEX コードは [(プロジュクトフォルダ)\dist\default\production] フォルダに入ります。

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PICkit3 を使えるようにする
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[MPLAB IPE] を起動して、[Settings]→[Adbannced Mode] を選択するとパスワードを聞かれるので [microchip] と入力します。
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続いて [Log on] をクリックすると詳細メニューが出ます。

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[Power] を選択して出る画面の [Power Target Circuit from Tool] にチェックを入れます。
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[Log out] で元の画面に戻ります。

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これで PIC16F886 への書き込み・読み出し・ベリファイなどができるようになりました
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ここまでやっててきた設定のほとんどは、新たに [MPLAB IPE] を起動する度に必要です。
これが、煩わしいです。
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IPE の [Verify] 以外の機能は IDE でもできるので、IPE を使うことはほとんどないです。
筆者の場合、使うのは [Verify] 機能だけです。
最後に
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筆者のように開発ツールはパソコンにあるが、その開発ソースや出力オブジェクトは NAS にあるという使いかたでは緊急時になんとかなります。
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今回はパソコン故障だったのですが、開発ツールを別のパソコンにインストールするだけで開発環境が復旧しました。
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ちなみに筆者のパソコンには (重要) データがなく、NAS のネットワークドライブのフォルダショートカットが並んでいます。
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これが NAS を使うメリットと思うのです。
NAS にあるデータは自動バックアップしています。
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最悪 NAS が故障しても予備 NAS に交換してリカバリするだけで復旧します。
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