Nakamichi 430

Nakamichi 430 をゲット!

2025年9月26日、さいたま市緑区の Y さんより Nakamichi 430 を研究用に寄贈いただきました。

定価8.5万円 の高級 FM 専用チューナで希少モデルです。 別売の7千円のウッドケースに入っていました。

フロントパネルはフルサイズですが、奥行が 22cm と短く設置がすごく楽です。 こういうチューナを切望しているかたも多いと思います。



程度&動作チェック

  1. 寄贈者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 内部の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部



リペア (その1):[RCA 端子] [F 端子] にサビが出ている

  1. [RCA 端子] のサビ

  2. [F 端子] のサビ



リペア (その2):[mute] スイッチが効かない

  1. 調査と原因

  2. 修理

  3. 修理後の動作チェック



リペア (その3):ミテクレ補修 ・・・ これだけでも見た目の印象が大きく改善しました!

  1. フロントパネルを留める [六角穴付きボルト]×4本 が汚れている

  2. ウッドケースの最前面の左右の留めネジに近い辺りでスレがある

  3. [tuning] [output level] ノブを清掃

  4. [mono]~[mute] スイッチトップを清掃



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



  2. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    メイン基板 CN3-4pin +10V +9.09V
    メイン基板 CN3-3pin -10V -9.42V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 N-430 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - [表示基板]
    CN9-2pin (AFC) を GND に接続
    AFC を無効化
    2 - mono : OFF
    narrow : OFF
    Dolby FM : OFF
    hi-blend : OFF
    mute : OFF
    output level : max
    -  
    3 10.7MHz 90dB
    無変調
    [メイン基板]
    [CJ301] の同軸ケーブルを外し、代わりに SSG 出力を注入
    同調点(仮)調整
    4 - [メイン基板]
    DT301 黒コア
    Multipath-H 電圧 = 0±10mV
    5 [メイン基板]
    手順3で外した同軸ケーブルを [CJ301] に戻す
    6 90MHz 90dB
    無変調
    指針を 90MHz に
    合わせる
    [フロントエンド]
    LO
    Multipath-H 電圧 = 0±10mV OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせるのが目的
    7 83MHz 60dB
    無変調
    83MHz 受信 [フロントエンド}
    LA1
    LR1
    LR2
    LR3
    Multipath-V 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    8 [フロントエンド}
    IFT
    [メイン基板}
    T303
    IF 調整
    9 83MHz 90dB
    mono 1kHz
    [メイン基板]
    DT301 茶コア
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 検波調整
    10 [メイン基板]
    DT301 黒コア
    Multipath-H 電圧 = 0±10mV
    11 手順9~10を数回繰り返す
    12 - [表示基板]
    手順1の CN9-2pin (AFC) を開放
    AFC を有効化
    13 83MHz 90dB
    mono 400Hz
    50% 変調
    83MHz 受信 [MPX 基板]
    VR301
    [output level] = 最大 で
    オーディオ出力 = 500mVrms
    OUTPUT レベル調整
    14 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L-R
    [MPX 基板]
    VR302
    VR302を左右に回し
    [stereo] ランプが点灯する範囲
    の中間にセットする
    VCO 調整
    15 [フロントエンド}
    IFT
    [メイン基板}
    VR301
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF 歪補正
    (normal stereo)
    16 83MHz 受信
    narrow : ON
    [メイン基板}
    VR302
    T303
    IF 歪補正
    (narrow stereo)
    17 83MHz 90dB
    stereo 1kHz R/L
    83MHz 受信
    narrow : OFF
    [MPX 基板]
    VR303
    オーディオ出力 (L/R) = 最小 セパレーション調整

  4. 調整結果



使ってみました

  1. 修理&再調整が終わって

  2. デザイン

  3. 感度や音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数 76~90MHz
    実用感度 1.8uV (10.5dBf)
    歪率 (1kHz 以下、100% 変調) [MONO] 0.06% (normal)、0.2% (narrow)
    [STEREO] 0.09% (normal)、0.4% (narrow)
    S/N 比 (IHF) mono : 70dB
    stereo : 68dB
    周波数特性 30Hz~15kHz +0.5 -1.5dB
    実効選択度 (IHF) normal : 60dB
    narrow : 90dB
    ステレオセパレーション 100Hz : 35dB (normal)、30dB (narrow)
    1kHz : 50dB (normal)、35dB (narrow)
    10kHz : 35dB (normal)、30dB (narrow)
    キャプチャーレシオ normal : 1.5dB
    narrow : 4.0dB
    イメージ妨害比 100dB
    IF 妨害比 100dB
    スプリアス妨害比 100dB
    SCA サプレッション 75dB
    AM サプレッション 60dB
    MPX フィルタ 70dB (19kHz)
    アンテナ端子 300Ω バランス
    75Ω アンバランス
    OUTPUT 端子レベル 500mV (50% 変調時、アウトプット最大)
    電源電圧 AC100V 50/60Hz
    消費電力 11VA
    外形寸法 400(W)×80(H)×222(D) mm
    重量 4.9kg
    別売 400シリーズウッドキャビネット 7,000円
    その他
    発売時期 1977年
    定価 85,000円