SONY ST-S333ESX (3号機) をゲット!
2020年4月9日、新潟県上越市の U さんから
SONY ST-S333ESX
の故障品を研究用に寄贈していただきました。
2022年2月に修理&再調整をしたのですが、再度2024年8月に本格的な修理&再調整をしました。
到着後、程度&動作チェック
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寄贈者からのコメント
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FM のオートチューニングとステレオ受信ができない故障品ですが、宜しかったら研究用に如何でしょう。
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外観
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製造シリアル番号は [207684] で、電源コードの製造マーキングより [1987年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] は添付されませんでした。
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パッと見は綺麗です。
全体的には並みの中古状態です。
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フロントパネルにあるディスプレイの透明アクリル板にポチッと1点キズがあります。
そう目立たないのでガマンですね。
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リアパネル自体は綺麗ですが、ここにある端子に薄いサビが出ています。
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天板の右側に小さいヘコミが2箇所あります。
醜くはないのでガマンですね。
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左側サイドウッドの下側の化粧ツキ板がめくれ上がっています。
特に下側の一番前と一番後が程度が悪いです。
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右側サイドウッドの下側の化粧ツキ板がめくれ上がっています。
特に下側の一番後が程度がかなり悪いです。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様です。
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ボタン操作でタクトスイッチの劣化を感じます。
動作しない時は、もう1度押すと動作します。
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FM 受信
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MUTING = OFF でしか受信できず、当然、モノラルでしか聴けません。
寄贈者のコメントの通りです。
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AM 受信
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手持ちの純正でない AM ループアンテナを接続してチェックしました。
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問題なく良好に受信できます。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗で、基板に実装されている部品には目視でわかる劣化は見られません。
リペア (その1):FM 受信でオートチューニングとステレオ受信ができない
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原因
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[LA1235] と [IFT205] が故障して同調点が大きくズレたのが原因です。
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通常 0±20mV のところ、5V くらいになっていました。
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修理
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故障した [LA1235] を基板から取り外し、IC ソケット化してから良好な [LA1235] と交換しました。
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故障した [IFT205] を [互換 IFT] と交換しました。
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[互換 IFT] の内蔵チタコンは 82pF で、ST-S333ESX (100pF) で使うには 18pF 足りません。
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このため、15pF コンデンサを基板裏で追加しました。
3pF の差は調整で吸収できます。
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左の写真で小さい赤〇が [互換 IFT] で、大きい赤〇が [LA1235] です。
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右の写真は [互換 IFT] に追加した 30ppm/℃ 温度補償 積層セラミックコンデンサ 15pF です。

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修理後の動作確認
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S カーブが出るようになり、オートチューニングやステレオ受信できました。
直りました!!!
リペア (その2):[電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] 交換
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概要
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プリセットメモリをバックアップする電気二重層コンデンサは製造後37年経っているので、そろそろ寿命です。
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タンタルコンデンサは短絡事故をおこしやすいので、別の種類のコンデンサに置き換えたほうが良いです。
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交換リスト
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タンタルコンデンサより積層セラミックコンデンサのほうが ESR が低く優秀です。
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| C601 |
39mF/5.5V |
1F/5.5V |
電気二重層コンデンサ |
| C604 |
10uF/16V (タンタル) |
10uF/25V (積セラ) |
積層セラミックコンデンサに交換 |
| C613 |
10uF/16V (タンタル) |
10uF/25V (積セラ) |
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交換
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左の写真は交換後で、赤〇で囲んだ左から [C604] [C613] [C601] です。
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右の写真は、交換前に基板に実装されていた古い [C601] [C604] [C613] です。
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交換前の電気二重層コンデンサは 39mF の容量しかないのに大きいです。
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白亜紀の代物なので交換したほうが幸せになれます。
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交換に使った電気二重層コンデンサは左の写真でわかるように小型です。

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電気二重層コンデンサで電源 OFF の時にプリセットメモリをバックアップします
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バックアップ時間はオリジナルの 39mF の時で1ヶ月です。
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39mF → 1F と26倍の容量になったので計算上は26ヶ月になるはずです。
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でも自己放電もあるので、実際には数ヶ月と思います。
リペア (その3):その他
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タクトスイッチの劣化
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タクトスイッチの僅かな隙間から
接点復活スプレー
を吹きかけ、ON/OFF を繰り返したら直りました。
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リアパネルにある端子の薄いサビ
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RCA 端子はティッシュで擦ってサビ取りしてマシになりました。
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左右サイドウッドの化粧ツキ板のめくれ上がり
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木工ボンドを塗布し、化粧板の上に板とおもりを置いて24時間かけて再接着しました。
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乾いてから部分的に補修塗りをしました。
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まあまあな程度には回復し、特に前方から見たら分らないようになりました。
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全体の清掃
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内部に若干たまっていたゴミはブラシとエアダスターで除去しました。
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全体を OA クリーナで清掃しました。
天板はカーワックス掛けしました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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電圧の実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
備考 |
| JW174 |
+15V |
+16.2V |
チューナ用 |
| JW122 |
+15V |
+15.7V |
FL 管用 |
| JW169 |
+5.6V |
+5.64V |
デジタル用 (MCU) |
| JW92 |
+30V |
+30.3V |
VT 電圧用 |
| D907-R |
-6V |
-5.64V |
コントロール用 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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セパレーションや高調波歪率など、優秀な性能が出ました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
58 |
62 |
dB |
| NARROW |
30 |
30 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.030 |
% |
| stereo |
0.034 |
% |
| NARROW |
mono |
0.40 |
% |
| stereo |
0.40 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-75 |
-74 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
-0.04 |
dB |
| CAL TONE |
WIDE |
mono |
398.4 |
Hz |
| -6.03 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] がないので、IF 調整だけしました。
使ってみました
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パネルやボタンなどの機構部はバブル期 (1985~1991年) を反映した贅沢な作りになっており、
超貴重品!
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FM は、感度・S/N・解像度とも良く、細かい音がよく聴こえます。
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AM も、感度が良く、音も良いです。
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高級感あふれる贅沢なチューナです。
超お奨め!!!
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SONY の ST-S333ES シリーズ FM チューナについて
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ST-S333ES シリーズは ST-S333ESX (1986年) に始まり、ST-SA5ES (1995年) で終わりました。
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ちょうど日本のバブル経済期と一致しています。
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ST-S333ESX の1つ前に ST-S333ES (1984年) がありますが、構成が全然違うので除外しています。
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むしろ、
ST-S555ESX
(1986年) が前作に当たります。
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ST-S555ESX ではディスクリート構成であった MPX を高性能 IC 化したのが ST-S333ESX です。
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ST-S333ESX が記念すべき初代
で、SONY の高級 FM チューナの製造技術が確立しました。
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これ以降は全てマイナーチェンジで、構成はほぼ変わらず、性能も変わりません。
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同調ノブのない ST-S333ESX はデザイン的に筆者の好み
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全てボタン操作だけなので、フロントパネルがフラットでスッキリしています。
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デジタルチューニングなので、同調ノブなんて不要
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通常はプリセットボタンで選局すると思うので、同調ノブなんて全く使わない
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使わないし、デザインを崩すし、
同調ノブがないほうが美しい!